1億円以上のデジタルアートが生まれたプロジェクト「Hashmasks」とは
本コラムでは、Hashmasksの概要について解説します。Hashmasksは2021年1月にスタートしたデジタルーアートのプロジェクトです。
数多くのアーティストを巻き込んだ大規模プロジェクトであり、かつ巧妙な仕組みによって大きな注目を集めています。ブロックチェーン上でやり取りされるデジタルアートのプロジェクトはこれまでも数多く存在していましたが、Hashmasksはデジタルアートの要素とブロックチェーンの要素をうまく組み合わせた一つの事例です。
Hashmasksの公式サイト:https://www.thehashmasks.com/gallery
Hashmasksの基本コンセプト
Hashmasksは、2021年1月にスタートしたデジタルアートプロジェクトです。マスク姿の絵が描かれたアートのコレクションで、イーサリアム(Ethereum)のブロックチェーン上でやり取りされるNFTです。
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すでに巨額の資金がやり取りされており、執筆時点で最も高額で取引されたアートは420 ETH(約1億円)です。
Hashmasksは70人以上のアーティストたちが作ったデジタルアートで、16,384個の似顔絵アートです。16,384個のNFTそれぞれが異なる絵です。各NFTに結びつくアートはIPFS上にホストされています。
Hashmasksでは2021年1月28日から16,384個のNFTのセールが行われ、すべて発行数をロックされており、今後再発行されません。セールは数日で完売となり、合計1,400万ドル(約15億円)で購入されました。セールでは後半になるほど値上がりしていく設計でした。これらのNFTは、NFT取引所で二次流通が可能です。Hashmasksの開発会社はスイスを拠点にしたSuum Cuique Labsで、アートの販売もこの事業者が行っています。
16,384個のデジタルアートを一覧できるギャラリーページも用意されており、誰でも各デジタルアートの種類を閲覧できます。ギャラリーページでは、各デジタルアートの現在の保有者情報や各Hashmasksの名前などを閲覧できます。各デジタルアートの名前という要素が重要な概念で、これについては後述します。
出典:https://www.thehashmasks.com/gallery
Hashmasksは、目の色・肌の色・マスク・アイテム・キャラクターという5つの変数でカテゴリ分けされており、希少性が高いキャラクターやマスクも存在しています。また、これらのNFTはアートの分割という概念も込められており、複数のアートを組み合わせると本来の絵ができあがるという要素もあります。なお、Hashmasksはデジタルアートごとにレア度があるものの、セール時には早く買うほどレア度が高いアートを貰えるというようなことはなく、完全にランダムで割り振りが行われました。
ただのデジタルアートではない新しい要素、NCTトークン(Name Change Token)
HashmasksにはNCTトークン(Name Change Token)という仕組みがあります。Hashmasksのデジタルアートの保有者は、毎日10のNCTトークンが自動的に配布されます。NCTトークンはNFTではなく、ERC-20のファンジブルトークンです。
NCTトークンの利用用途は、これをバーンすることでデジタルアートの名前を変更できます。Hashmasksのスマートコントラクトに名前の変更リクエストと1830 NCTを送ることで、デジタルアートの名前を変えられます。
デジタルアートの保有者は毎日10 NCT貰えますが、この配布は10年後の2031年1月26日に終了します。つまり10年経てば、名前を変える度にNCTトークンは減少しますが、その後は増えなくなる希少価値の高い権利となっています。アートの名前を変えるには1830 NCTが必要とすでに述べましたが、この配布を得るためにはアートを約半年間保有する必要があります。なお、NCTにも市場で価格がついていて、取引がされています。
Hashmasksはこれまでのデジタルアートと何が違うか?
Hashmasksがこれまでのデジタルアートと異なる大きな特徴は、以下のように整理できます。
- 販売時以降、再発行されない限定のアートコレクションである
- アート名の変更権利をアート保有者に少しずつエアドロップすることで、保有する意味を持たせている
- 名前を変える権利は供給に限りがあり、その分需要も高まる
これまでのデジタルアートは、ただただデジタルの画像をNFTにしているだけでした。しかしHashmasksは、保有するインセンティブをもたせていたり、名前を変えるという新しい要素を組み込んでいます。
この点で新しいデジタルーアートであり注目されています。まだデジタルアートというジャンルが本格的に市民権をとるかどうかは見通しが分かりません。市民権を得るためには、デジタルアートとブロックチェーンならではの要素を上手く組み合わせることが重要になると思われます。
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参照元:CoinChoice