中央銀行はCBDC発行で民間のデジタル通貨に遅れるな、IMFが文書で提言
中央銀行デジタル通貨(CBDC)は、急速に進む金融システムの中で大きな障壁に直面していると、国際通貨基金(IMF)が伝えています。IMF によると、CBDCは世界の多くの国で開発が進み、金融セクターが急速に深化していることから、公共、民間の経済セクターは中央銀行に対して、新技術導入に向けて刷新を図り、テクノロジー企業と歩調を合わせるよう強く要望しています。
国際通貨基金が提言
IMFは2月20日ブログに「デジタル時代における公的貨幣と私的貨幣の共存可能性」と題した文書を公表しました。ブログは「今日の貨幣、あるいは近い将来の貨幣もまた、その先のニーズに応えられる可能性は低い」「中央銀行にとって、技術革新のペースやユーザーのニーズ、民間部門の競争についていくことは、困難を伴うだろう」と分析しています。
中央銀行は従って、「テクノロジーの最前線上で、有力かつ好まれるデジタルマネーとしてユーザーの財布に入れておかれるようになるために、中央銀行はむしろアップルやマイクロソフトのようになる必要があるだろう」としています。要するに民間セクターのイノベーションに、中央銀行が後れを取ってはならないとの主張です。
リスクを排し二重貨幣制度の確立がカギ
IMFによると、速いペースで進んでいるデジタル通貨革命と競合する(中央銀行の)最善の策は、民間セクターがその資産を安全、確実にCBDCに変換することができるシステムを構築することであると、次のように述べています。
「私的貨幣はそれが紙幣であれ硬貨であれ、あるいは一部の銀行が保有する中央銀行準備金であれ、完全に安全で流動的な公的貨幣に変換する選択肢があるのだ」
要するに、CBDCに換金するための選択肢を持つことは、安定性、相互運用性、イノベーションそして民間発行マネーの多様性にとって必要不可欠です。私的貨幣に取って代わるシステムは、極めて高いリスクがあります。従って公共、民間セクター間に健全な二重貨幣制度を確立することが、CBDCとして機能し続けるカギとなります。
そのような二重貨幣制度は、デジタル時代に生き残り、CBDCが決済システムの安定性と効率性をしっかり維持するために不可欠となります。一方、デジタル時代にあっては、私的貨幣は公的貨幣システムの基盤を補完することになります。
固定額面価格で中央銀行通貨との交換が可能な私的貨幣は、安定した価値の保存手段となります。中央銀行通貨への変換という選択肢は、民間が発行する貨幣の安定性や相互運用性、イノベーション、多様性にとって極めて重要です。
民間貨幣のみのシステムでは、リスクが過大になり、CBDCだけのシステムでは、重要なイノベーションの機会が失われかねません。これら2つの貨幣は、それぞれが他方に立脚しながら健全かつ安定した二重貨幣システムを形成することになります。
参考
・Public and Private Money Can Coexist in the Digital Age
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参照元:CoinChoice