Serumで優れたインターフェースを提供するBonfidaとは
海外取引所大手のFTXは、Solanaブロックチェーン上に分散型取引所セラム(Serum)を構築しています。Serumはオーダーブック型とAMM(自動マーケットメイカー)型の2つの流動性を持ちますが、特にオーダーブック型のDEX(分散型取引所)はユーザーインターフェースが整備されていなかったり、利便性の高いウォレットが用意されていなかったりすることから、ユーザーの継続利用を促すことが難しいという課題があります。
BonfidaとSolanaの解説
BonfidaはSolanaを使って構築されたSerum用のGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)とウォレットです。
Solanaは安く高速なトランザクション処理が可能で、レイヤー2やシャーディングを必要としないインフラストラクチャとして開発されています。レイヤー2はビットコインのライトニングネットワークのように独自ネットワークの構築に煩雑な手続きが必要であったり、シャーディングはブロックチェーン空間を複数に分けるために異なる空間に拠点を置くアプリケーション同士の連携が難しかったりとそれぞれに課題があります。
Solanaの場合は、レイヤー2やシャーディングなしで十分に高速なトランザクション処理ができるので、さまざまなアプリケーションの構築と連携がしやすくなっています。
Bonfidaはどのような課題を解決するのか?
新興取引所として勢いのあるFTXによって開発されているSerumはSolanaを基盤とした取引所を構築しています。しかしながら、これらのインフラストラクチャや機能はそのままの形では一般ユーザーが快適に利用することはできません。その理由は、これらのインフラストラクチャはコードによって記述されており、これらのプラットフォームからデータを取得したり、トランザクションを送る時に特別なコマンドを実行する必要があるからです。
現在WindowsやMacを利用するときに大多数のユーザーがGUIベースのマシンを使っており、コマンドを打ち込んでマシンを操作するユーザーは少数です。最新の技術であるブロックチェーン領域では同様の課題(優れたユーザーインターフェースが提供されていない)が残されています。
Bonfidaは一般ユーザーにとって易しいインターフェースを作り、誰もが直接的にブロックチェーン上のサービスにアクセスできるようにすることを目標としています。具体的には取引チャートやマーケットオーダー、Serum関連のTradingViewデータ提供をサービスの第一陣として用意しています。
また、Serum関連のオンチェーンデータ(ブロックチェーン上で発生したトランザクションに関連するデータ)を全て保持しており、REST APIを通してのデータ提供を行っています。こちらのデータフィードはSerumの公式GUIにも採用されているため、Serumのユーザーは既に間接的にBonfidaのサービスを利用していることになります。その他のデータとしてはSerum DEX、Serum Swapの日次ボリューム、TVL(プラットフォーム上でロックされている資産の総額)、取引スプレッドが含まれます。
ブロックチェーン関連のデータプロバイダーは一見すると地味な存在ではありますが、イーサリアムでは「etherscan」、ビットコインでは「blockchain.info」が極めて重要な役割を果たしており、これが存在するおかげでブロックチェーンデータを直接的に取得できない大多数のユーザーがデータを確認したり、トランザクションの動きを検証したりすることが可能となります。BonfidaはSerumにおいてこのような役割を担うことが期待されています。
Solana上に開発されるNFT取引所
この他にBonfidaはSolibleというNFTマーケットをローンチしており、SolibleにはSolanaとSerumの技術が採用されています。NFTはクリプトキティ(CryptoKitties)に端を発してイーサリアム上で盛り上がり、現在はアートやゲームアイテムの売買が行われています。
NFTマーケットは活発になる兆しが見えているものの一般にNFTは多くのガスを消費するため、イーサリアム上でNFTを取り扱うコストは高くなりがちです。特にDeFi(分散型金融)の流行によってガス代が高くなった場合、NFTの単純な送付にも大きなコストがかかるため、イーサリアム上でのNFTの処理は現実的ではないとの見方もあります。
CryptoKittiesの開発会社はNFTに適した独自ブロックチェーンFLOWを発表しています。Solanaは安価で高速なブロックチェーンを開発しているため、NFTのやり取りも低コストで実現できるという強みがあります。現時点ではアプリケーションの開発段階にありますが、高速な処理能力を持つブロックチェーンの強みを生かしたアプリケーションやエコシステムの拡充が今後も期待されます。
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参照元:CoinChoice