国内取引所でも取引が開始されたベーシックアテンショントークン(BAT)とは?

国内取引所でも取引が開始されたベーシックアテンショントークン(BAT)とは?

(文:Maki@仮想通貨ママコイナー

2020年、3か所の国内暗号資産取引所に新たなアルトコインが上場されました。ベーシックアテンショントークン(Basic Attention Token:BAT)というそのアルトコインは、誰もが日常的に見かけるようになったオンライン広告のかたちに疑問を呈し、問題を解決するために誕生しました。

どのような仕組みのアルトコインなのか、ベーシックアテンショントークンが使われる場であるBrave(ブレイブ)についても詳しくご紹介します。

ベーシックアテンショントークン(BAT)とは

BATその1

2017年5月に誕生したベーシックアテンショントークンは、イーサリアムのブロックチェーン上で発行されたERC20トークンのひとつです。

日々私たちが利用しているインターネットや、ゲームなどのアプリ上で目にするさまざまな「広告」は、手軽に幅広い宣伝ができると多くの企業に利用されています。しかし、利用者はこの広告によって知らない間に個人情報が他の場所で共有されていたり、広告表示のためにスマートフォンのバッテリー消費が激しかったりと、マイナス面が目立つようになりました。

そこで、ブロックチェーン上に透明性の高いオンライン広告の仕組みを作ろうと開発されたのが、ブレイブというウェブブラウザです。非中央集権的で誰に支配されることもなく、ユーザーのプライバシーを守り、不正広告に関連するコストを省く、信頼できるブラウザを作りました。

そして、このブレイブというブラウザの広告枠を運用するために、ベーシックアテンショントークン(BAT)が誕生しました。

Brave(ブレイブ)とは

BATその2

高速でオープンソース、かつプライバシーに配慮したブラウザです。

不正な動作を行うコードやソフトを拡散させるマルウェアや、不正なサイトに転送するリダイレクトを行う悪質なオンライン広告のことを「マルバタイジング」と言います。Braveではこのマルバタイジングをブロックできる仕組みになっています。

GPSを用いた位置情報取得や、閲覧したデータ履歴などを取得する「トラッカー(トラッキング)」も防ぎ、ユーザーは安心してウェブサイトを閲覧できるのが特徴です。

トラッカーは、どのようなユーザーが・どのような広告を・どれくらいの時間閲覧していたのかが分かり、場合によっては電話番号やクレジットカード情報などの個人情報を追うこともできるため、プライバシー侵害だという声も上がっています。

ブレイブは広告やコンテンツがどれくらいの時間閲覧されたかを測定し、個人情報を特定することなく、匿名性を確保しながらユーザーがどのようなことに興味を持っているのかをサーチしています。また、今後はさらにデータ収集にかかるコストを、より具体的に算出するための仕組みも開発されるそうです。

ブレイブは、不正で不快な広告が表示されるせいで、安全かつ安心して利用できないという既存のブラウザが抱える問題を解決し、ユーザーにとって適切な広告を表示させ、媒体主に対しても適切な報酬が渡る仕組みになっています。

ベーシックアテンショントークン(BAT)の特徴と使い方

ブレイブを運用するために使われるベーシックアテンショントークン(BAT)について、どのような仕組みでユーザー間を循環するのか、BATプラットフォームでどのような働きをするのかを見てみましょう。

BATの特徴①Basic Attention Metrics(BAM)

BATその3

ブレイブ上で広告を閲覧したユーザーには、報酬としてベーシックアテンショントークンが支払われます。手に入れたトークンは有料コンテンツやプレミアムサービスに利用でき、トークンが循環する仕組みになっています。また、広告を配信する媒体主に対しても、ベーシックアテンショントークンが報酬として支払われます。

まず、ブレイブのブラウザでは、ユーザーがどのような広告・コンテンツを閲覧したのか、その関心を「アテンション(Attention)」と呼んでいます。

何秒間エンゲージメントが発生したのか、インプレッション(表示回数)がユーザーの使うスマホ・パソコンのアクティブな場所で発生したかどうかなど、細かなデータから「アテンションの価値」を計測。その測定結果に応じて、広告主から広告を掲載した媒体主(パブリッシャー)に対してベーシックアテンショントークンが支払われる仕組みです。

このように、ベーシックアテンショントークンの支払いと配布をするための基準値(指標)を導き出す仕組みのことを、ベーシック・アテンション・メトリクス(BAM:Basic Attention Metrics)と言います。

BATの特徴②Twitterでの投げ銭(チップ)

BATその4

ブレイブのブラウザ経由でTwitterにアクセスし、ブレイブリワード(Brave Rewards)を有効にするとツイートに「Tip」ボタンが表示され、ここからツイート作成者にベーシックアテンショントークンを直接送金できるようになっています。

他にもYouTubeやReddit、その他のウェブサイトへのサポート機能も実装されており、今後もさらにトークンのやり取りができるフィールドが広がっていくと予想されます。

BATの特徴③日本では「BATポイント」、11月にBATで受け取り開始

BATその5
ブレイブを利用して広告を閲覧するとユーザーにベーシックアテンショントークンが付与されますが、日本では法規制を順守するため、BATではなく「BATポイント」が付与される仕組みになっていました。

しかし2020年3月にはGMOコイン、続く4月には国内取引所のビットフライヤー(bitFlyer)でベーシックアテンショントークンの取り扱いが開始されました。その後7月にブレイブソフトウェア(Brave Software)とbitFlyerが業務提携を行い、暗号資産ウォレットを共同開発することになりました。2020年11月にはBitFleyrtでウォレットサービスが開始され、ブレイブでベーシックアテンショントークンを取得できることになる予定です。

BATの特徴④寄付システム Brave Payments

BATその6

ブレイブ上では「ブレイブペイメント(Brave Payments)」という寄付システムを利用し、媒体主に匿名でベーシックアテンショントークンを寄付できるシステムが導入されています。

煩わしい広告表示をブロックしたいというユーザーと、広告収入を得たいという媒体主(パブリッシャー)の需要に合わせたもので、設定すると自動・匿名の少額寄付が可能です。

ベーシックアテンショントークンはERC20トークンのため、ビットコイン(BTC)よりも速く送金できます。

たとえベーシックアテンショントークンを持っていない場合でも、ビットコインやイーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)をブレイブペイメントに入金して寄付を行うと、自動でベーシックアテンショントークンに換えてくれる機能も。あくまでベーシックアテンショントークンを使うというスタンスになっているのが特徴です。

BATの今後について

BATその7

ベーシックアテンショントークンはユーティリティトークンとして、今後さまざまなサービスに利用できるよう開発が進められています。

たとえば、有料のプレミアムコンテンツであったり、流行のサブスクリプションサービスであったりと、パブリッシャー側にとって広告以外の新たな収益源になるとも想定されています。

こうした質の高いコンテンツが増えることで、ベーシックアテンショントークンがあちこちでやり取りされるようになり、供給制限がかかったトークンの価値が上がることも期待されるでしょう。

ブレイブだけでなく、他のブラウザなどでもベーシックアテンショントークンを利用できるようにする構想もあり、トークンを広く利用できる「BATエコシステム」の構築が進められていることにも注目です。

BATを売買できる取引所について

BATその8

ベーシックアテンショントークンは、ブレイブ上でユーティリティトークンとして利用するのはもちろん、暗号資産取引所で売買することも可能です。

これまでは海外取引所のみでの取り扱いでしたが、2020年に日本国内でも2つの取引所に上場されたことで話題となりました。

BATが取引されている海外取引所

BATその9

海外取引所では、Binance(バイナンス)を筆頭に、Huobi Global(フォビグローバル)、CoinbasePro(コインベースプロ)やBitMax(ビットマックス)など、さまざまな取引所に上場されています。

日本の取引所でも広がりを見せるBAT

BATその10

前述しましたが、2020年3月にはGMOコインに、4月に国内取引所bitFlyerにベーシックアテンショントークンが上場しています。

次いで7月21日には、コインチェック(Coincheck)にも上場。Coincheckでは、指定した金額を毎月コツコツ積み立てていける「Coincheckつみたて」や、保有する暗号資産を貸し出して利用料をもらうことができるレンディングサービスの「Coincheck貸仮想通貨」がありますが、ベーシックアテンショントークンもこれらのサービスに対応しています。

BATが新しいデジタル広告の形を作っていく

BATその11

インターネットを利用している方であれば、さまざまな形で見かけるデジタル広告。魅力的な情報をキャッチできる一方、サイトが見づらい・アプリが使いづらいなど不便な面があるのも確かです。

広告主・媒体主・ユーザーそれぞれがメリットを受けられる「アドテクノロジー」本来のかたちを表したBraveは、デジタル広告のスタンダードになり得るでしょう。より多くのユーザーや広告主が参入することで、ベーシックアテンショントークン自体の価値向上も期待できます。

さらに、今後はブレイブ以外のブラウザやTelegram(テレグラム)、WeChat(ウィーチャット)などでもベーシックアテンショントークンを利用できるよう、BATエコシステムの拡大を予定しており、他のブラウザを利用しているユーザーの獲得も考えられます。

情報社会の今、デジタル広告はさらに広がっていくと予想されますが、ベーシックアテンショントークンとブレイブが新しいスタイルを見せてくれることを今後も期待しましょう。

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GMOコイン

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参照元:CoinChoice

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