月: 2017年4月

地政学リスクはシリアから東アジアへ! 北朝鮮有事は円高要因か? 円安要因か? ブログ

地政学リスクはシリアから東アジアへ! 北朝鮮有事は円高要因か? 円安要因か?

■地政学リスクは東アジアへ、米ドル/円は110円決壊 みなさん、こんにちは。

 先週(4月6日)のコラムを配信してから多くの報道が飛び出したので、まずそちらから。

【参考記事】

●ドル/円の上値重いが節目110円も割れず。話題の「忖度」と米ドル買いに関係が…!?(4月6日、西原宏一)

 日本時間4月7日(金)午前10時過ぎ、米軍がシリアに対して巡航ミサイルによる攻撃を行った模様。

 これを受けて一時、円は全面高となり、米ドル/円相場は一気に110円前半まで急落しました。

【参考記事】

●ミサイル攻撃でも崩れなかった米ドル/円、マジノ線死守で市場の雰囲気変わるかも?(4月10日、西原宏一&大橋ひろこ)

 ただ、シリアの報道を受けても110円台前半の米ドル買い需要は引かず、米ドル/円は反発。結局、先週(4月3日~)の米ドル/円は「シリア情勢とは関係なく」反発し、111円台で引けています。

 ところが今週(4月10日~)、地政学リスクがシリアから東アジアに移行します。

 4月5日(水)に実施された北朝鮮のミサイル発射を受けて、米国は対北朝鮮への姿勢を徐々に硬化。

北朝鮮のミサイル発射を受けて、米国の姿勢は徐々に硬化。写真は急遽、朝鮮半島付近に展開することになった米国の原子力空母「カール・ビンソン」 (C)U.S. Navy/Getty Images

 北朝鮮がシリアに続き標的となったとの報道が増えるに連れ、円高圧力が増し、本邦機関投資家の米ドル買い需要でせき止めていた、米ドル/円の110.00円が決壊し、さらなる円高の余地が拡大しました。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

■東アジアでの有事は本当に円高要因なのか? ここでよく話題になる件ですが、東アジアでの有事は本当に円高要因なのかという問題。

 マーケットがリスクオフに直面すると、「株安・円高」になると言われています。

 この理由が円は「安全資産だから」と言われているのですが、そうではありません。

 地政学リスクが発生した場合、本邦投資家が、海外資産を売却して円に戻すため、つまり、レパトリが起こるため円が買われるわけです。

 そして問題は、「考えたくありませんが」日本が紛争に巻き込まれた場合も、本当にレパトリが起き、当事国の通貨である円は買われるのか?ということ。

 これにはいろんな意見が入り乱れていますが、円高派のほうが優勢になっています。

【とんでもない有事に関する参考記事】

●1ドル=167円! ゴジラ上陸なら円安襲来!? でも、なぜ「有事の円高」にならないのか?

 その理由は、2011年3月の東日本大震災時の円高。

 あれだけの災害を受けたのですが、通貨は安くなるどころか、円は急騰しました。

 対米ドルで円は一時8%も急騰しました。

【参考記事】

●米ドル/円が76.25円まで暴落! パニック相場の終息は当局の対応しだいか(2011年3月17日、西原宏一)

2011年1月~4月の米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)

 東アジアでの緊張は下記のように…
コラム:トランプ砲でドル100円割れの扉は開くか=村田雅志氏 News

コラム:トランプ砲でドル100円割れの扉は開くか=村田雅志氏

[東京 13日] - 地政学リスクの高まりやトランプ米大統領のインタビューでの発言を機に、ドル円は下落基調を強めている。このままドル安・円高が続くとの見方も一部にあるようだが、米債利回りは昨秋の米大統領選後の下値を割り込んでいない。日米金利差を考えれば、ドル円の一段安リスクは、さほど大きくないと思われる。

アングル:中国人民銀、巧みな裁量的政策駆使でリスク抑制へ News

アングル:中国人民銀、巧みな裁量的政策駆使でリスク抑制へ

[北京 12日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は金利調整や規制監督の面で自らの裁量余地を巧みに駆使し、国内金融システムのリスク抑制を進めている。より大きな狙いは、政治的に極めて重要な秋の共産党全国代表大会を前に、経済や社会の安定を確保することだ。複数の関係者が明らかにした。

ドル109円付近、110円の堅い床が堅い天井に転換か News

ドル109円付近、110円の堅い床が堅い天井に転換か

[東京 13日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点とほぼ同水準の109円付近。地政学リスクへの警戒感がくすぶる中、トランプ米大統領のドル高けん制発言が加わり、ドルは5カ月ぶり安値108.73円まで下落した。