■米ドル/円はすでに約4年間も上昇トレンドが続いてきた 今回は、米ドル/円の分析を行なう。まずは、月足チャートをご覧いただきたい。
月足チャートを見ると、2007年6月の高値124円台から始まった米ドル/円の下落トレンドを示すレジスタンス・ライン「緑の破線」を、2012年2月に上に抜けたことが読み取れる。
米ドル/円 月足(クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
換言すれば、この「緑の破線」を中長期のレジスタンス・ラインととらえるならば、2012年2月に下落トレンドから上昇トレンドに転換した、と言える。
2012年2月にトレンド転換したと考えるならば、もうすでに約4年もの期間「米ドル高・円安トレンド」が続いてきたことに留意する必要がある。
ところが2012年の時点では、米ドル/円は2012年3月以降、下落に転じ、絶対水準で80.00円を割り込み、70円台で推移したことから、2012年は円高傾向の印象が強い状態となった。
そして、2012年の時点では、確かに米ドル/円が安値75.32円を下に抜けると、つまり新値を更新すると(=歴史的最安値を更新すると)、「円高トレンド」が継続していると判断すべき状態だった、と考える。
しかし、2012年11月の衆院解散の決定をきっかけに、米ドル/円は急上昇を始めた。政権交代が起これば(民主党政権から自民党政権に交代すれば)、金融緩和策が採られる、といった思惑が働いた、と考える。そして、この急上昇で、「米ドル/円のトレンドは、下落から上昇に転換した」ことが確認できた。
再掲載した、下の月足チャートには、新たな中長期のレジスタンス・ライン「ピンクの破線」を表示している。
米ドル/円 月足(再掲載、クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
個人的には、「このライン『ピンクの破線』は、時間が経過するとなくなる(=引く必要がなくなる)のではないか?」と考えていた。
上述のとおりに、「2012年2月に『上昇トレンド』に転換した」と考えるので、このライン「ピンクの破線」は引かなくてもよい、と考える。
つまり、「緑の破線」が中長期のレジスタンス・ラインであり、この「緑の破線」を上に抜けた時(2012年2月)に、トレンド転換が起こった、と考えるので、この「ピンクの破線」は必要ない、とも言える。
ただし、相場を読む際に、便宜上、このライン「ピンクの破線」を表示しておいた方が都合が良い、と考える。
この「ピンクの破線」を上に抜ける場合が、「買いシグナル」だった、と考えるからだ。
月足チャートに、サポート・ライン「赤の破線」を表示した。
米ドル/円 月足(再掲載、クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
比較的小さな調整はあるとしても、サポート・ライン「赤の破線」に従って、大局では上昇が続いていた、と判断する。
米ドル/円は、124円台前半を上に抜けて、2007年6月の最高値を更新した。
昨年(2015年)の6月初旬に、高値125.80-85円レベルをつけている。
しかし、高値(125.85円)をつけた後は、最高値を更新した後で、調整局面に入った、と考える。
125.85円から120円台ミドルへ下落し、そこからは反転上昇して、再び、125円台をつけている。
昨年(2015年)の8月に、この2度目の125円台から下落し、120.00円を割り込み、116円台前半に急落した。
この時(2015年8月)も、中国株(上海総合)の急落や、中国経済に対する不安に起因する世界同時株安から、リスク回避の動きが広がり、米ドル/円が売られた(=円が買われた)、という図式だ。
116円台からは、反転上昇して、121円台を回復したが、その後は、120.00円程度を中心レートに、上下動を繰り返していた。
米ドル/円 月足(再掲載、クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
昨年(2015年)の11月6日(金)の米国雇用統計では、事前予想よりも、圧倒的に良い結果が発表された。
これを材料に、12月の「利上げ開始」の思惑が広がり、米ドル/円は、121円台から123円台に上昇している。
先月(2015年12月15日、16日)のFOMC(米連邦公開市場委員会)の直前は、120円台程度だったが、FOMCで米国の利上げ開始が発表されたことで、123円台にまで上昇している。
しかし、昨年(2015年)末の相場は、ポジション調整から円高気味に推移して、年末のクローズは、120.00円近辺だった。
■2016年年初は中国株式市場の影響で120円台を割り込む 2016年1月4日(月)の年初の相場では、120円台を割り込んだ。
この日の中国株式市場でサーキットブレーカーが発動し、中国株式市場が取引停止になったことが、材料になった。
この下落で、月足チャートに示したサポート・ライン「赤の破線」を割り込み、「売りシグナル」を発した、と考える。
米ドル/円 月足(再掲載、クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
ただし、今後の相場で、米ドル/円の下落が、それ程激しいものではなく、反発(上昇)に転じる場合は、サポート・ライン「赤の破線」の傾きを緩やかにして、修正することになる可能性がある。
今の時点では、明確な判断ができないので、サポート・ライン「赤の破線」を割り込んで「売りシグナル」を発した、と考えておくべきだろう。
今のところ、この「売りシグナル」は、トレンド転換を示すものではない、と考えている。
ただし、115円を割り込む場合はトレンド転換の可能性を考える必要がでてきるので、要注意だ。
続いて週足チャートを…