■過去の米大統領選挙は為替相場で材料視されず みなさん、こんにちは。
今回の米大統領選挙のテレビ討論会は、あまり興味深いものではありませんでした。
それは、「政策」よりも「個人攻撃」に終始する討論が繰り広げられたからです。
このような「テレビ討論」を見せられる米国民は次期米大統領にどのような希望をもつのか?と個人的に危惧するほどの個人攻撃の応酬でした。
ヒラリー氏とトランプ氏のテレビ討論会は、「政策」ではなく、「個人攻撃」の応酬だった
(C)Steve Pope/Getty Images
ただ結果として、ヒラリー氏優位に進んできました。
もともと米大統領選挙が為替相場に直接的な影響を及ぼしたという記憶はありません。
たとえば、2008年に「オバマ大統領」が選出された時の米ドル/円は、暴落を演じていますが、これは「リーマンショック」によるもので、オバマ大統領の勝利によるものではありませんでした。
2007年10月~2009年9月の米ドル/円 週足(出所:CQG)
■米大統領選挙の注目度を高めた2つの理由とは? このように、もともとは為替相場に直接的な影響を与えるわけではない「米大統領選挙」が、今回、マーケットの注目度を高めた理由は2つあります。
まずひとつは「トランプ氏」の存在。
トランプ氏の過激なコメントはメディアの注目を集めますが、彼が米大統領になることはまず考えにくいというのがマーケットのコンセンサス。
ただ、マーケットが警戒しているのは、ポピュリズムの台頭。
現在の米国では、中間層の不満が高まっています。
彼らの人生プランはこれまで順調に進んできましたが、それがいつの間にか入り込んできた、インドなどからの外国人技能労働者に職を奪われ、結果、没落している現状があります。
こうした環境下では、「現在の政治では、自分たちの生活はよくならないのではないか?」という不満が増大します。
そこに現れたのがトランプ氏。
彼は、外国人技能労働者に規制をかけると主張。
こうした彼の主張は、不満が高まる中間層への十分なアピールとなります。
外国人技能者に規制をかけるといったトランプ氏の主張は、不満が高まる中間層への十分なアピールになる (C)Chip Somodevilla/Getty Images
米国の報道などによると、全米の選挙人の数から考えれば、ヒラリー氏の圧倒的優位は変わらず。
それにも関わらず、トランプ氏が巻き返してきたという報道だけで警戒感からヘッジ売りが持ち込まれるのは、わずか数カ月前にマーケットが経験したBrexit(英国のEU離脱)が記憶に新しいため。
このBrexitが今回の米大統領選挙の注目度を高めた2つめの要因となっています。
数カ月前に、マーケットは驚愕のBrexitを…