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トランプ氏の米ドル高牽制発言で、米ドル安 終焉!? 米ドル/円は200日線の攻防に注目!
■リスクオフとトランプ氏の米ドル高牽制で円高に 米ドル/円の110円節目割れが示したように、地政学リスクの高まりで円がリスクオフ通貨として選好される傾向はなお強い。
そして、トランプ米大統領の米ドル高牽制発言も重石となり、円の続伸(円高)をもたらした。
一方、ドルインデックスでみると、トランプ氏の発言が市場にもたらし影響は、短命に終わる可能性がある。
ドルインデックス 1時間足(出所:Bloomberg)
4月12日(水)のWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)のインタビューで、トランプ米大統領は「米ドルが強すぎるのは、人々が私を信頼しているためだから、自分のせいだ」と語り、米ドルの急落をもたらしたが、昨日(4月13日)、ドルインデックスはだいぶ戻り、米ドルの下落分を帳消しとする可能性を示唆している。
トランプ米大統領は「米ドルが強すぎるのは、人々が私を信頼しているためだから、自分のせいだ」と語り、米ドルの急落をもたらした。(C)Alex Wong/Getty Images
トランプ米大統領の米ドル高牽制は、本来かなりインパクトの強い発言であったにもかかわらず、「意外」とその影響力が限定的と思われる節があるとすれば、それはほかでもない、トランプ氏がほぼ同時に、あまりにも多くの前言を翻したからだ。
選挙時に中国を名指しして、「為替操作国」と非難したトランプ氏は、インタビューの中で一転して、「為替操作国ではない」と明言した。
また、FRB(連邦準備制度理事会)に関しては、低金利を維持するのが好ましいと言い、イエレン議長の留任も暗示したが、周知のとおり、選挙時には、FRBの低金利政策を非難し、イエレン議長の解任までほのめかしていた経緯があった。
君子豹変もいいところだが、トランプ米大統領の前言撤回はさらに続く。
NATO(北大西洋条約機構)は「時代遅れではない」と言い直し、合衆国輸出入銀行も「支持」すると表明した。
もちろん、氏はつい最近まで、「NATO自体はもはや時代遅れ」と繰り返し、合衆国輸出入銀行は米国雇用を犠牲にした組織と批判していた。その経緯は記憶に新しいところだ。
■米ドル高はトランプ氏への信頼ではなく、失望の現れ? 商人出身のトランプ米大統領の「変節」は、よく言えば現実的で柔軟性がある、悪く言えば「節操なし」の範疇に入ると思われるが、ここで重要なのは、氏の言葉を真面目かつ深刻に受け取る必要がないことを、マーケットが習得しているかもしれないことだ。
だから、米ドル高牽制発言がもたらした影響が短命に終わる可能性があっても、おかしくなかろう。
そもそもトランプ氏がいう「米ドル高は自分のせい」というところは否定しないが、「人々が私を信頼しているため」かどうかはかなり微妙だ。
基本的に、「トランプ・ラリー」がもたらした米ドル急伸は、人々がトランプ氏を信頼していたというよりも、氏の経済政策への強い期待感の現れであった。ここへきての米ドル下落が物語るのは、そういった氏への期待がかなり裏切られた、という失望感の表れではないかと思う。
ゆえに、「トランプ・ラリー」がすでに失速し、また米ドル高もかなり修正されてきた目先、トランプ氏の「自画自賛」がやや滑稽に見えたのも仕方がない。
さらに、米ドル高の本質が米金利の正常化が進む段階に…
そして、トランプ米大統領の米ドル高牽制発言も重石となり、円の続伸(円高)をもたらした。
一方、ドルインデックスでみると、トランプ氏の発言が市場にもたらし影響は、短命に終わる可能性がある。
ドルインデックス 1時間足(出所:Bloomberg)
4月12日(水)のWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)のインタビューで、トランプ米大統領は「米ドルが強すぎるのは、人々が私を信頼しているためだから、自分のせいだ」と語り、米ドルの急落をもたらしたが、昨日(4月13日)、ドルインデックスはだいぶ戻り、米ドルの下落分を帳消しとする可能性を示唆している。
トランプ米大統領は「米ドルが強すぎるのは、人々が私を信頼しているためだから、自分のせいだ」と語り、米ドルの急落をもたらした。(C)Alex Wong/Getty Images
トランプ米大統領の米ドル高牽制は、本来かなりインパクトの強い発言であったにもかかわらず、「意外」とその影響力が限定的と思われる節があるとすれば、それはほかでもない、トランプ氏がほぼ同時に、あまりにも多くの前言を翻したからだ。
選挙時に中国を名指しして、「為替操作国」と非難したトランプ氏は、インタビューの中で一転して、「為替操作国ではない」と明言した。
また、FRB(連邦準備制度理事会)に関しては、低金利を維持するのが好ましいと言い、イエレン議長の留任も暗示したが、周知のとおり、選挙時には、FRBの低金利政策を非難し、イエレン議長の解任までほのめかしていた経緯があった。
君子豹変もいいところだが、トランプ米大統領の前言撤回はさらに続く。
NATO(北大西洋条約機構)は「時代遅れではない」と言い直し、合衆国輸出入銀行も「支持」すると表明した。
もちろん、氏はつい最近まで、「NATO自体はもはや時代遅れ」と繰り返し、合衆国輸出入銀行は米国雇用を犠牲にした組織と批判していた。その経緯は記憶に新しいところだ。
■米ドル高はトランプ氏への信頼ではなく、失望の現れ? 商人出身のトランプ米大統領の「変節」は、よく言えば現実的で柔軟性がある、悪く言えば「節操なし」の範疇に入ると思われるが、ここで重要なのは、氏の言葉を真面目かつ深刻に受け取る必要がないことを、マーケットが習得しているかもしれないことだ。
だから、米ドル高牽制発言がもたらした影響が短命に終わる可能性があっても、おかしくなかろう。
そもそもトランプ氏がいう「米ドル高は自分のせい」というところは否定しないが、「人々が私を信頼しているため」かどうかはかなり微妙だ。
基本的に、「トランプ・ラリー」がもたらした米ドル急伸は、人々がトランプ氏を信頼していたというよりも、氏の経済政策への強い期待感の現れであった。ここへきての米ドル下落が物語るのは、そういった氏への期待がかなり裏切られた、という失望感の表れではないかと思う。
ゆえに、「トランプ・ラリー」がすでに失速し、また米ドル高もかなり修正されてきた目先、トランプ氏の「自画自賛」がやや滑稽に見えたのも仕方がない。
さらに、米ドル高の本質が米金利の正常化が進む段階に…
FXグラフは「手書き」が良いって本当? 大損が減る3つの理由
FXで手書きグラフを描いている人なんているのかなと思った方もいるかもしれません。でも、林照太郎先生系運用法や私のメルマガ読者にはかなり存在しています。私もその一人です。FXを始めてずっと豪ドル円の手書きグラフを描いて投資判断の中心としています。このグラフの効用の一つは「大損しにくくなること」です。なぜ、「大損しにくくなるのか」についてまとめました。
FXサヤ取り2017年版 スワップポイント差を利用したサヤ取りとは
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北朝鮮有事への懸念と米ドル安政策表明で ドル/円は105円程度まで下落の可能性十分
■米国のシリア攻撃と北朝鮮への強硬姿勢について ここのところ、トランプ政権の一連の言動に市場が混乱しています。
まず、最初のきっかけはシリアへの爆撃でした。シリアのアサド政権が化学兵器を使ったのではないかということに対して、米国軍がシリアを爆撃しました。国連決議も経ない、いきなりの攻撃であり、世界中に衝撃が走りました。
さらに、北朝鮮に対しても強硬な姿勢を示しています。こちらは、具体的な案件があったわけではないですが、最近も行われているミサイルの発射などをきっかけに、トランプ政権は北朝鮮に対して、強硬姿勢を見せているのです。
まず、朝鮮半島近海に原子力空母、カール・ビンソンを派遣。その上で、中国に対して、中国が具体的な行動に出なければ、単独で北朝鮮を攻撃することも辞さないことを伝えました。
シリアに対して電撃攻撃を行ったことで、トランプ政権の北朝鮮に対する武力攻撃が現実味を帯びてきているため、市場も敏感に反応しています。
北朝鮮に対して、強硬姿勢を見せている米トランプ政権は、朝鮮半島近海に原子力空母、カール・ビンソンを派遣。有事への緊張が高まる (C)U.S. Navy/Getty Images
■北朝鮮有事への懸念から、市場は円買いの反応 かつては、近隣の北朝鮮への有事ということであれば、円安・米ドル高になるところでしたが、最近は、逆の反応をするようになっています。
すなわち、有事になると経常収支黒字国の通貨が買われるという相関です。そのため、円買いという反応になっています。
米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
トランプ政権のマティス国防長官やティラーソン国務長官は、かなりの強硬派であることが最近の言動で明らかになっており、シリアへの攻撃に反対したバノン主席戦略官を更迭する動きも出てきています。
この問題は、深刻に捉えておいた方が良いでしょう。
シリアへの攻撃に反対したとされるバノン主席戦略官。更迭の動きもあるとか…。トランプ政権で重要なポストを担ってきたが、これでお役御免となるのかどうか… (C)Bloomberg/Getty Images
■日米経済対話を前に、先制パンチを食らわせた!? 次に、4月12日(水)に、WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)のインタビューの中で、トランプ米大統領が米ドル相場について発言したことを挙げておきます。内容は、以下のとおりです。
「米ドルは強くなり過ぎていると思う。これはある程度、私のせいでもある。人々が私を信頼しているからだ。しかし、これは痛手となっている。最終的に痛手となる。米ドルが強く、他国が自国通貨を切り下げている状況で競争するのは極めて難しい」
この時期に、こうした発言が出てきたのは決して偶然ではありません。
まず、先日、米中首脳会談が行われました。そこでは米中間の貿易不均衡がテーマとなり、これから100日間で、この問題をどう解決するかを検討していくことが合意されました。
トランプ米大統領は、さすがに中国を「為替操作国」に認定することは避けましたが、それでも中国人民元安に対して何らかのくさびを打ちたいという意図があったのでしょう。
加えて、トランプ米大統領は「OTHER NATIONS」と、複数の国が自国通貨の切り下げをしていると批判しています。
当然、日本もその中に含まれていると推察できます。折りしも、4月18日(火)からは、日米経済対話が始まります。その前に、先制パンチを食らわせたということでしょう。
1月20日(金)に大統領に就任して以来…
まず、最初のきっかけはシリアへの爆撃でした。シリアのアサド政権が化学兵器を使ったのではないかということに対して、米国軍がシリアを爆撃しました。国連決議も経ない、いきなりの攻撃であり、世界中に衝撃が走りました。
さらに、北朝鮮に対しても強硬な姿勢を示しています。こちらは、具体的な案件があったわけではないですが、最近も行われているミサイルの発射などをきっかけに、トランプ政権は北朝鮮に対して、強硬姿勢を見せているのです。
まず、朝鮮半島近海に原子力空母、カール・ビンソンを派遣。その上で、中国に対して、中国が具体的な行動に出なければ、単独で北朝鮮を攻撃することも辞さないことを伝えました。
シリアに対して電撃攻撃を行ったことで、トランプ政権の北朝鮮に対する武力攻撃が現実味を帯びてきているため、市場も敏感に反応しています。
北朝鮮に対して、強硬姿勢を見せている米トランプ政権は、朝鮮半島近海に原子力空母、カール・ビンソンを派遣。有事への緊張が高まる (C)U.S. Navy/Getty Images
■北朝鮮有事への懸念から、市場は円買いの反応 かつては、近隣の北朝鮮への有事ということであれば、円安・米ドル高になるところでしたが、最近は、逆の反応をするようになっています。
すなわち、有事になると経常収支黒字国の通貨が買われるという相関です。そのため、円買いという反応になっています。
米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
トランプ政権のマティス国防長官やティラーソン国務長官は、かなりの強硬派であることが最近の言動で明らかになっており、シリアへの攻撃に反対したバノン主席戦略官を更迭する動きも出てきています。
この問題は、深刻に捉えておいた方が良いでしょう。
シリアへの攻撃に反対したとされるバノン主席戦略官。更迭の動きもあるとか…。トランプ政権で重要なポストを担ってきたが、これでお役御免となるのかどうか… (C)Bloomberg/Getty Images
■日米経済対話を前に、先制パンチを食らわせた!? 次に、4月12日(水)に、WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)のインタビューの中で、トランプ米大統領が米ドル相場について発言したことを挙げておきます。内容は、以下のとおりです。
「米ドルは強くなり過ぎていると思う。これはある程度、私のせいでもある。人々が私を信頼しているからだ。しかし、これは痛手となっている。最終的に痛手となる。米ドルが強く、他国が自国通貨を切り下げている状況で競争するのは極めて難しい」
この時期に、こうした発言が出てきたのは決して偶然ではありません。
まず、先日、米中首脳会談が行われました。そこでは米中間の貿易不均衡がテーマとなり、これから100日間で、この問題をどう解決するかを検討していくことが合意されました。
トランプ米大統領は、さすがに中国を「為替操作国」に認定することは避けましたが、それでも中国人民元安に対して何らかのくさびを打ちたいという意図があったのでしょう。
加えて、トランプ米大統領は「OTHER NATIONS」と、複数の国が自国通貨の切り下げをしていると批判しています。
当然、日本もその中に含まれていると推察できます。折りしも、4月18日(火)からは、日米経済対話が始まります。その前に、先制パンチを食らわせたということでしょう。
1月20日(金)に大統領に就任して以来…
地政学リスクはシリアから東アジアへ! 北朝鮮有事は円高要因か? 円安要因か?
■地政学リスクは東アジアへ、米ドル/円は110円決壊 みなさん、こんにちは。
先週(4月6日)のコラムを配信してから多くの報道が飛び出したので、まずそちらから。
【参考記事】
●ドル/円の上値重いが節目110円も割れず。話題の「忖度」と米ドル買いに関係が…!?(4月6日、西原宏一)
日本時間4月7日(金)午前10時過ぎ、米軍がシリアに対して巡航ミサイルによる攻撃を行った模様。
これを受けて一時、円は全面高となり、米ドル/円相場は一気に110円前半まで急落しました。
【参考記事】
●ミサイル攻撃でも崩れなかった米ドル/円、マジノ線死守で市場の雰囲気変わるかも?(4月10日、西原宏一&大橋ひろこ)
ただ、シリアの報道を受けても110円台前半の米ドル買い需要は引かず、米ドル/円は反発。結局、先週(4月3日~)の米ドル/円は「シリア情勢とは関係なく」反発し、111円台で引けています。
ところが今週(4月10日~)、地政学リスクがシリアから東アジアに移行します。
4月5日(水)に実施された北朝鮮のミサイル発射を受けて、米国は対北朝鮮への姿勢を徐々に硬化。
北朝鮮のミサイル発射を受けて、米国の姿勢は徐々に硬化。写真は急遽、朝鮮半島付近に展開することになった米国の原子力空母「カール・ビンソン」 (C)U.S. Navy/Getty Images
北朝鮮がシリアに続き標的となったとの報道が増えるに連れ、円高圧力が増し、本邦機関投資家の米ドル買い需要でせき止めていた、米ドル/円の110.00円が決壊し、さらなる円高の余地が拡大しました。
米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
■東アジアでの有事は本当に円高要因なのか? ここでよく話題になる件ですが、東アジアでの有事は本当に円高要因なのかという問題。
マーケットがリスクオフに直面すると、「株安・円高」になると言われています。
この理由が円は「安全資産だから」と言われているのですが、そうではありません。
地政学リスクが発生した場合、本邦投資家が、海外資産を売却して円に戻すため、つまり、レパトリが起こるため円が買われるわけです。
そして問題は、「考えたくありませんが」日本が紛争に巻き込まれた場合も、本当にレパトリが起き、当事国の通貨である円は買われるのか?ということ。
これにはいろんな意見が入り乱れていますが、円高派のほうが優勢になっています。
【とんでもない有事に関する参考記事】
●1ドル=167円! ゴジラ上陸なら円安襲来!? でも、なぜ「有事の円高」にならないのか?
その理由は、2011年3月の東日本大震災時の円高。
あれだけの災害を受けたのですが、通貨は安くなるどころか、円は急騰しました。
対米ドルで円は一時8%も急騰しました。
【参考記事】
●米ドル/円が76.25円まで暴落! パニック相場の終息は当局の対応しだいか(2011年3月17日、西原宏一)
2011年1月~4月の米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)
東アジアでの緊張は下記のように…
先週(4月6日)のコラムを配信してから多くの報道が飛び出したので、まずそちらから。
【参考記事】
●ドル/円の上値重いが節目110円も割れず。話題の「忖度」と米ドル買いに関係が…!?(4月6日、西原宏一)
日本時間4月7日(金)午前10時過ぎ、米軍がシリアに対して巡航ミサイルによる攻撃を行った模様。
これを受けて一時、円は全面高となり、米ドル/円相場は一気に110円前半まで急落しました。
【参考記事】
●ミサイル攻撃でも崩れなかった米ドル/円、マジノ線死守で市場の雰囲気変わるかも?(4月10日、西原宏一&大橋ひろこ)
ただ、シリアの報道を受けても110円台前半の米ドル買い需要は引かず、米ドル/円は反発。結局、先週(4月3日~)の米ドル/円は「シリア情勢とは関係なく」反発し、111円台で引けています。
ところが今週(4月10日~)、地政学リスクがシリアから東アジアに移行します。
4月5日(水)に実施された北朝鮮のミサイル発射を受けて、米国は対北朝鮮への姿勢を徐々に硬化。
北朝鮮のミサイル発射を受けて、米国の姿勢は徐々に硬化。写真は急遽、朝鮮半島付近に展開することになった米国の原子力空母「カール・ビンソン」 (C)U.S. Navy/Getty Images
北朝鮮がシリアに続き標的となったとの報道が増えるに連れ、円高圧力が増し、本邦機関投資家の米ドル買い需要でせき止めていた、米ドル/円の110.00円が決壊し、さらなる円高の余地が拡大しました。
米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
■東アジアでの有事は本当に円高要因なのか? ここでよく話題になる件ですが、東アジアでの有事は本当に円高要因なのかという問題。
マーケットがリスクオフに直面すると、「株安・円高」になると言われています。
この理由が円は「安全資産だから」と言われているのですが、そうではありません。
地政学リスクが発生した場合、本邦投資家が、海外資産を売却して円に戻すため、つまり、レパトリが起こるため円が買われるわけです。
そして問題は、「考えたくありませんが」日本が紛争に巻き込まれた場合も、本当にレパトリが起き、当事国の通貨である円は買われるのか?ということ。
これにはいろんな意見が入り乱れていますが、円高派のほうが優勢になっています。
【とんでもない有事に関する参考記事】
●1ドル=167円! ゴジラ上陸なら円安襲来!? でも、なぜ「有事の円高」にならないのか?
その理由は、2011年3月の東日本大震災時の円高。
あれだけの災害を受けたのですが、通貨は安くなるどころか、円は急騰しました。
対米ドルで円は一時8%も急騰しました。
【参考記事】
●米ドル/円が76.25円まで暴落! パニック相場の終息は当局の対応しだいか(2011年3月17日、西原宏一)
2011年1月~4月の米ドル/円 日足(出所:Bloomberg)
東アジアでの緊張は下記のように…
トルコリラ円スプレッド比較 2017年4月最強はやはりここ
トルコリラ円スプレッドを比較してみました。5社での比較です。トルコの情勢が再び荒れだしているため、トルコリラ円が荒れ始めています。短期売買をするための低スプレッド口座探しの参考になればと思います。
マネーパートナーズnanoで外貨両替が可能に! 高スワップポイントを活かしてフル活用
マネーパートナーズnanoで外貨両替が可能になります。これによって、海外旅行などの予定がある方はかなり有益な使い方が出来るようになります。
「米国株バブルの宴戦略」 バブル最終局面と読んでNYダウ買いポジション5枚追加の目論見
本日くりっく株365で、「日経225売りーNYダウ買い」ポジションを追加しています。米国株バブルが最終局面に入ってきたという認識のもとでのNYダウ買いです。その目論見についてまとめました。くりっく株365 高配当と安定性 私の使い方
米ドル/円の下値ターゲットは107.50円近辺、 米雇用統計結果とシリア攻撃はどう影響?
■米ドル/円は日足チャートで10円幅のボックス相場を下抜け 今回は米ドル/円の分析を行なう。まずは、日足チャートをご覧いただきたい。日足チャートを俯瞰すると、米ドル/円は、高値圏で「緑の破線(太線)」で示したボックス相場を形成した、と考える。
米ドル/円 日足(クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
このボックス相場「緑の破線(太線)」の上限は125円台後半程度、下限は115円台後半程度で、値幅約10円のボックス相場だ。
日足チャートを見てのとおりに、ボックス相場「緑の破線(太線)」を割り込み、「売りシグナル」を発した、と考える。
ボックス相場のセオリーでは、ボックス相場を下に抜けた場合は、その下限から、ボックスの値幅分、下落したところがターゲットになる。
つまり、ボックス相場「緑の破線(太線)」の下限は115.50円台後半、ボックス相場「緑の破線(太線)」の値幅は約10円だから、ターゲットは、105円台後半程度、と考える。
日足チャートを見てのとおりに、米ドル/円は2016年5月上旬に、105円台の安値を付けている。
だから、2016年5月上旬の時点で、上述のターゲットは、すでに達成した、と考える。
ターゲットの水準(105円台後半程度)を「緑の破線(両端矢印)」で表示した。
■小さいボックス相場を次々と形成しながら下落 米ドル/円は、ボックス相場「緑の破線(太線)」を割り込んで、115円台で発せられた「売りシグナル」に従い下落した。そしてボックス相場「赤の破線」を形成した、と考える。
米ドル/円 日足(クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
ボックス相場「赤の破線」の上限は115.00円近辺、下限は110.50円近辺、と考える。
この、ボックス相場「赤の破線」の下限(110.50円近辺)を割り込み、さらに「売りシグナル」を発した、と考える。
この110.50円近辺で発せられた「売りシグナル」に従い、下落して、107円台を付けた。
107円台からは111円台に反発したが、2016年4月29日(金)のゴールデン・ウィーク初日に、この時点での安値(107.50円近辺)を更新して、「売りシグナル」を発した、と考える。
この「売りシグナル」に従い、105円台に下落している。105円台からは、再度、反発して111円台を付けている。
その結果として、米ドル/円は、ボックス相場「紫の破線」を形成した、と考える。
米ドル/円 日足(クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
ボックス相場「紫の破線」の上限は112.00円近辺、下限は105.50円近辺、と考える。
この時点での米ドル/円は、105円台ミドルの安値を付けたが、105円台ミドルの安値を付けて以降は、麻生財務大臣の「口先介入」を材料・きっかけに、111円台にまで反発(上昇)した。
しかし、111円台からは反転下落して、ボックス相場「紫の破線」を割り込み、「売りシグナル」を発した、と考える。
昨年(2016年)の6月16日(木)の日銀政策決定会合で、「現状維持(=変更なし)」が発表されると、ボックス相場「紫の破線」の下限(105円台ミドル)を割り込み、「売りシグナル」を発した、と考える。
■2016年6月の「英国国民投票」を材料に大きく乱高下 昨年(2016年)の6月23日(木)に実施された「英国の国民投票」を材料に、米ドル/円は、大きく乱高下をしている。
「英国の国民投票」の結果が出る直前は、英国がEUに残留するだろう、という思惑が強く、米ドル/円は、106円台後半の高値を付けている。
米ドル/円 日足(再掲載、クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
ところが、英国のEU離脱が確実になると、それを材料に、米ドル/円は急落して、99.00円割れ(98円台後半)を付けた。
99.00円割れ(98円台後半)からは、103円台までリバウンドして、そして、再度100.00円割れ(99円台後半)を見ている。
■「ヘリコプター・マネー」の思惑で大きく上昇 この2度目の100.00円割れ(99円台後半)から、米ドル/円は、大きく上昇している。
大きく上昇した理由は、バーナンキ前FRB議長が来日した際に、同氏が安倍首相、黒田日銀総裁と会談をしたことから、日銀が追加の金融緩和策を打ち出すのではないか、といった思惑が広がったこと、と考える。
いわゆる「ヘリコプター・マネー」を想像したのだろう、と考える。
昨年(2016年)の6月頃からの米ドル/円は、ボックス相場「茶色の破線」を形成中、と考える。
米ドル/円 日足(クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
ボックス相場「茶色の破線」の上限は108.00円近辺、下限は99.00円近辺、と考える。
■2016年1月下旬以降の相場は一定のスピードで徐々に下落 日足チャートを俯瞰すると、昨年(2016年)の1月下旬以降の相場は、レジスタンス・ライン「ピンクの破線」に従って下落した、と考える。
米ドル/円 日足(再掲載、クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
レジスタンス・ライン「ピンクの破線」の平行線を表示した。米ドル/円が、2本の平行線に挟まれて下落しているということは、「米ドル/円は、一定のスピードで、徐々に、下落していた」ということだ。そして、「ピンクの破線」の傾きのスピードで下落していた、ということである。
昨年(2016年)の(10月)初旬の値動きで…
米ドル/円 日足(クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
このボックス相場「緑の破線(太線)」の上限は125円台後半程度、下限は115円台後半程度で、値幅約10円のボックス相場だ。
日足チャートを見てのとおりに、ボックス相場「緑の破線(太線)」を割り込み、「売りシグナル」を発した、と考える。
ボックス相場のセオリーでは、ボックス相場を下に抜けた場合は、その下限から、ボックスの値幅分、下落したところがターゲットになる。
つまり、ボックス相場「緑の破線(太線)」の下限は115.50円台後半、ボックス相場「緑の破線(太線)」の値幅は約10円だから、ターゲットは、105円台後半程度、と考える。
日足チャートを見てのとおりに、米ドル/円は2016年5月上旬に、105円台の安値を付けている。
だから、2016年5月上旬の時点で、上述のターゲットは、すでに達成した、と考える。
ターゲットの水準(105円台後半程度)を「緑の破線(両端矢印)」で表示した。
■小さいボックス相場を次々と形成しながら下落 米ドル/円は、ボックス相場「緑の破線(太線)」を割り込んで、115円台で発せられた「売りシグナル」に従い下落した。そしてボックス相場「赤の破線」を形成した、と考える。
米ドル/円 日足(クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
ボックス相場「赤の破線」の上限は115.00円近辺、下限は110.50円近辺、と考える。
この、ボックス相場「赤の破線」の下限(110.50円近辺)を割り込み、さらに「売りシグナル」を発した、と考える。
この110.50円近辺で発せられた「売りシグナル」に従い、下落して、107円台を付けた。
107円台からは111円台に反発したが、2016年4月29日(金)のゴールデン・ウィーク初日に、この時点での安値(107.50円近辺)を更新して、「売りシグナル」を発した、と考える。
この「売りシグナル」に従い、105円台に下落している。105円台からは、再度、反発して111円台を付けている。
その結果として、米ドル/円は、ボックス相場「紫の破線」を形成した、と考える。
米ドル/円 日足(クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
ボックス相場「紫の破線」の上限は112.00円近辺、下限は105.50円近辺、と考える。
この時点での米ドル/円は、105円台ミドルの安値を付けたが、105円台ミドルの安値を付けて以降は、麻生財務大臣の「口先介入」を材料・きっかけに、111円台にまで反発(上昇)した。
しかし、111円台からは反転下落して、ボックス相場「紫の破線」を割り込み、「売りシグナル」を発した、と考える。
昨年(2016年)の6月16日(木)の日銀政策決定会合で、「現状維持(=変更なし)」が発表されると、ボックス相場「紫の破線」の下限(105円台ミドル)を割り込み、「売りシグナル」を発した、と考える。
■2016年6月の「英国国民投票」を材料に大きく乱高下 昨年(2016年)の6月23日(木)に実施された「英国の国民投票」を材料に、米ドル/円は、大きく乱高下をしている。
「英国の国民投票」の結果が出る直前は、英国がEUに残留するだろう、という思惑が強く、米ドル/円は、106円台後半の高値を付けている。
米ドル/円 日足(再掲載、クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
ところが、英国のEU離脱が確実になると、それを材料に、米ドル/円は急落して、99.00円割れ(98円台後半)を付けた。
99.00円割れ(98円台後半)からは、103円台までリバウンドして、そして、再度100.00円割れ(99円台後半)を見ている。
■「ヘリコプター・マネー」の思惑で大きく上昇 この2度目の100.00円割れ(99円台後半)から、米ドル/円は、大きく上昇している。
大きく上昇した理由は、バーナンキ前FRB議長が来日した際に、同氏が安倍首相、黒田日銀総裁と会談をしたことから、日銀が追加の金融緩和策を打ち出すのではないか、といった思惑が広がったこと、と考える。
いわゆる「ヘリコプター・マネー」を想像したのだろう、と考える。
昨年(2016年)の6月頃からの米ドル/円は、ボックス相場「茶色の破線」を形成中、と考える。
米ドル/円 日足(クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
ボックス相場「茶色の破線」の上限は108.00円近辺、下限は99.00円近辺、と考える。
■2016年1月下旬以降の相場は一定のスピードで徐々に下落 日足チャートを俯瞰すると、昨年(2016年)の1月下旬以降の相場は、レジスタンス・ライン「ピンクの破線」に従って下落した、と考える。
米ドル/円 日足(再掲載、クリックで拡大)(出所:ヒロセ通商)
レジスタンス・ライン「ピンクの破線」の平行線を表示した。米ドル/円が、2本の平行線に挟まれて下落しているということは、「米ドル/円は、一定のスピードで、徐々に、下落していた」ということだ。そして、「ピンクの破線」の傾きのスピードで下落していた、ということである。
昨年(2016年)の(10月)初旬の値動きで…