■日米首脳会談が金融市場に与えた影響は、ほとんど無し 今週(4月16日~)、安倍総理が訪米し、17日(火)~18日(水)に日米首脳会談が行われました。
結論を言うと、金融市場にはほとんど影響が出ていません。
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■日本は拉致問題を中心課題にしたかった その背景を見てみます。
今回の日米首脳会談は、米朝首脳会談が行われるとの報を受け、安倍総理側が慌てて会談を申し入れて実施されたものです。
【参考記事】
●米経済面の最大のリスク要因は貿易政策! ドル/円は崩れれば100円に向かう可能性も(3月22日、今井雅人)
従って、安倍総理としては、この北朝鮮の問題を、とにかく中心課題にしたいという強い意向があります。
ところが、核開発などの問題については、米国、韓国、中国に先を越されて、日本は置いてけぼりになっているので、この点を日本側から主張しても、なんのインパクトもありません。
そうなると、日本として主張したいのは、拉致問題ということになります。
だから、記者会見では、この点にほとんどの時間を割いています。安倍総理の方から、トランプ米大統領に、会見ではこの点を強調してほしいと頼んだのでしょう。
■トランプ米大統領の関心は通商問題。でも問題は先送りへ しかし、トランプ米大統領の関心は、本当はそこにはありません。彼はビジネスマンであり、通商問題の方が、よほど関心が強いです。
トランプ米大統領は、会談の冒頭で以下のように述べています。
「我々はとてつもない対日貿易赤字を抱えている。できれば、均衡を達成したい」
これが彼の本音です。
しかし、安倍総理は、今の時点で、この問題を大きくしたくありません。
米国の通商問題の担当者は、ライトハイザーUSTR(米通商代表部)代表や、クドローNEC(米国家経済会議)委員長です。彼らは、通商交渉において、強硬派で知られています。
安倍総理にとっては、今後の通商のあり方を議論する協議会のようなものを作りましょうと提案して、これ以上の議論を避けたいというのが本音でしょう。事実、流れはそういう感じになっています。
【参考記事】
●108円を超えるか超えないかが米ドル/円の運命の分かれ道もまだ下落の可能性高い(4月17日、バカラ村)
つまり、この問題は先送りです。
■日本が名指しで指摘されても、なぜ円高にならなかった? しかし、忘れてはいけません。4月13日(金)に発表された米国の為替報告書で、日本は名指しで「もう少し円高の方が良い」と指摘されています。
【参考記事】
●シリア空爆へのマーケットの反応は限定的。M&Aと原油高で英ポンドに買い妙味アリ!?(4月16日、西原宏一&大橋ひろこ)
この内容に、市場があまり反応しなかったのは、正直、少し驚きましたが、それで円高リスクがなくなっているわけではありません。
ある程度、ここまでは想定の範囲内であったので、あまり円高にならなかったのでしょう。
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日米の通商交渉は、始まったばかりであるということなので、この問題が金融市場に影響してくるのは、もう少しあとになってからということになりそうです。
そうした状況の中で、金融市場は非常に静かになってしまって…