■金利と米ドルが一般的な相関関係へ。原因は謎… 為替市場は、年初から3月ぐらいまでの相場とは、まったく違った様相を呈してきています。
米国の金利上昇が米ドル高をもたらすという、本来の一般的な相関関係に戻ってきているということです。
【参考記事】
●FXレバレッジ規制騒動に、近く結論が? 米金利上昇→ドル高の相関復活の背景とは(4月26日、今井雅人)
米長期金利(右軸)とドルインデックス(左軸) 日足(出所:Bloomberg)
3月までとは逆の動きになっているわけですが、どうして変わったのか、いまだに謎です。何とか解明したいと考えています。
■長期投資なら新興国通貨は良い仕込み時? さて、最近の米ドル高は、主要通貨に対してばかりではなく、特に、新興国通貨に対しての米ドル高が顕著です。
新興国は、一般的に海外からの資金を必要としていますが、その調達は、高金利に支えられている面があります。
ところが、米国の金利が上昇し始めると、相対的に新興国通貨の高金利の魅力が低下するため、新興国から資金が流出します。
そのために、「米ドル高・新興国通貨安」に転じてしまうのです。
【参考記事】
●デフォルト常習犯のアルゼンチンが緊急利上げ連発で政策金利40%に! 一体なぜ?
こういう地合いのときは、新興国通貨を安易に買わないことです。
ただし、長期的な観点で言えば、良い仕込み時とも言えるわけで、ポジションを何年も保有するつもりの投資家は、金額を絞って買い下がっていくのも1つの作戦でしょう。
トルコリラ/円 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 週足)
ただ、短期・中期で売買する方は、新興国通貨の一段の下落リスクを、よく考えておく必要があります。
■FOMCの目標を上回る物価指標に注目! 米国の長期金利(10年物国債の利回り)は、現在、約3%となってきています。
米長期金利(米10年債利回り) 日足(出所:Bloomberg)
それが今後どうなっていくのか、1番のポイントは物価動向です。
そういう意味において、5月10日(木)に発表される、米国の消費者物価指数(4月分)に注目が集まります。
市場予想では、総合指数が前年比で2.5%の上昇、変動の激しいエネルギーや食品を除いたコア指数が、2.2%の上昇となっています。
米消費者物価指数・総合指数の推移※米労働省労働統計局のデータを基にザイFX!が作成
米消費者物価指数・コア指数の推移※米労働省労働統計局のデータを基にザイFX!が作成
つまり、どちらもFOMC(米連邦公開市場委員会)の目標値である、年率2%を上回っています。
だからこそ、FOMCが6月に追加利上げを実施するとの観測が広がっているわけです。
今回の消費者物価指数が市場予想値を上回れば、さらなる利上げ期待とともに、米長期金利の上昇がもたらされ、米ドル高が加速することになるでしょう。注目しておきたいと思います。
さらに、もう1点、これから注目されているのが…