【2025年2月】NFT市場動向|1月は市場が大きく縮小、売上高は24%マイナスに
2025年1月、暗号資産市場はトランプコイン($TRUMP)をきっかけに、大きな盛り上がりを見せ、ニュースでも暗号資産の話題を見かけるようになりました。
これに対して、NFT市場は2024年末の高騰から一転、大幅な縮小を見せています。
取引高の減少や流動性の低下が顕著となり、特にイーサリアムを筆頭とする主要チェーンにおけるNFTの売上が減少しています。一方で、BaseやAptosといった新興チェーンのNFT市場は大幅な成長の兆しを見せています。
本レポートでは、2025年1月におけるNFT市場のデータを分析し、今後の動向について考察します。
- 2025年1月のNFT市場売上高は約6億8,000万ドル(前月比-24%)
- イーサリアムNFTの月間売上高は約3億3,900万ドル(シェア49〜50%、前月比-40%近く)
- ビットコインNFTは売上が約1.1億ドルに留まり、前月比で40%以上の減少
- Base NFTの月間売上高は前月比+275.9%と大幅に伸び、市場注目度が急上昇
- Blurの月間取引高は4.4億ドル(シェア50.5%)で首位を堅持
- 取引収益やユーザー数ではMagic Edenがトップに
- Azukiが取引量でPudgy Penguinsを上回る
- 国内のNFT市場はほぼ横ばいの結果に
- メルカリNFTがローンチ後2週間で取引高2,500万円超を記録
NFT市場の全体概要
2025年1月のNFT市場は大幅な減速を記録しました。
NFTデータアグリゲーターのCryptoSlamによると、NFTの売上高は前月比で24.54%のマイナスという結果です。
金額ベースで見ると去年12月の9億117万ドルから6億8,022万ドルへと推移しており、新年入りとともに取引量が落ち着きを見せ始めたことがうかがえます。
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具体的な項目で見ると、Unique Sellersが463,834から540,760へと増加した一方で、Unique Buyersは723,618から673,462へと減少。
Total Txns(総トランザクション数)については536万件から510万件へと減少し、2021年3月以来の最低水準となっています(参照:BINANCE RESEARCH)。
市場縮小の背景にあると考えられる要因は以下の3つです。
- マクロ要因:米国の新政権(トランプ政権)下での関税政策や規制動向への警戒感が依然として残り、暗号資産・NFTへの投資マインドが慎重になった。
- 年末年始の反動:2024年12月はPudgy PenguinsなどのブルーチップNFTの取引高が急増し、一時的に売上が跳ね上がった局面があったが、その反動で1月は落ち込みが顕在化したとも考えられる。
- ミームコインへの資金流入:トランプ大統領公認のミームコインが発行されるなど投機性の高いトークンが急騰し、NFT市場から一部資金が流出した可能性も指摘されている。
年末から年始にかけてNFT市場が大きく縮小傾向に転じており、今後の回復が注目されます。
チェーン別動向
1月の全NFT売上高に占めるチェーン別シェアを見ると、イーサリアムが約49〜50%($339,056,782)で市場を牽引しました。
ただし絶対額としては前月比で大きく減少しており、イーサリアム全体でも売上は4割近いマイナスになったとされます。
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ビットコインは全体で10%前後の売上シェアを記録。1月は12月比で40%以上の減少が見られ、Ordinal系やBRC-20関連のNFTへの投資が一巡して落ち着いた印象です。
ソラナチェーンは、上述した$TRUMPや$MELANIAなどミームコインの盛り上がりでユーザー数自体は他チェーンを大きく上回った(下記参照)ものの、NFTの売上高に限っては前月比28%のマイナスになりました。
ただし、ソラナチェーン自体は依然として活況を示しており、新規コレクションのリリースやAI関連の試みが話題となっています。
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そして、全体的な冷え込みに逆行して、大きな成長を見せたのがBaseチェーンです。
Baseは米国の大手暗号資産取引所が開発したレイヤー2で、高速かつ低コストなトランザクション処理が魅力です。
関連:コインベースのブロックチェーン「Base」とは?特徴や将来性を徹底解説
BaseチェーンのNFT売上高は前月比で+275.9%、取引総数も+168.87%と顕著に伸びていることがわかります。そして、ユーザー数はPolygonやビットコインを上回る結果となりました。
ブロックチェーンのオンチェーン分析ツール「Dune」で見てみても、BaseチェーンのNFT取引高は明らかに増えていました。
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背景には、Base上で人気を博している主要コレクションや分散型SNS「Warpcast」の盛り上がりなどがあるとみられます。今後もイーサリアムなど他チェーンからのユーザー流入が継続すればさらなる成長が期待できるでしょう。
マーケットプレイス別動向
下記は、NFTデータ分析サイトとして知られるNFT Pulseのデータを引用したもので、NFTマーケットプレイスごとの月間データを表しています。
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2025年1月における主要マーケットプレイスの取引収益では、Magic Eden(2.4Mドル / 42.9%)とOpenSea(2.4Mドル / 41.4%)が拮抗しており、この2社で取引収益の8割超を占める状況です。
Magic EdenはソラナだけでなくビットコインやApeChainなど、マルチチェーン対応を拡充しており、その幅広いユーザーベースが取引収益や取引高を下支えしているとみられます。(下記参照)
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月間取引高は合計で約8.71億ドル、こちらについてはBlurが4.4億ドル(50.5%)と依然としてトップを走っており、引き続き大きなボリュームを生み出していることがうかがえます。
そして、Blurの後には、Magic Edenが約1.45億ドル(16.6%)、OpenSeaが1.41億ドル(16.2%)と続く形となりました。
月間ユーザー数に関しては全体で約49.4万人、そのうちMagic Edenが16.9万人(34.1%)、OpenSeaが15.5万人(31.3%)を占めており、取引収益とともにユーザー数でもMagic EdenとOpenSeaが並んで市場を牽引しています。
Magic Edenはマルチチェーン対応でユーザー数を伸ばし収益も堅調、Blurは大口トレーダーを取り込む仕組みで依然高い取引量をキープ、OpenSeaは依然として総合力でトップクラスの地位を維持しているといえます。
国内外のNFT市場全体が年始にかけて落ち込みを見せる中でも、このようにマーケットプレイス間の競争は激しく、今後も引き続き注視すべきポイントとなるでしょう。
関連:NFTマーケットプレイスおすすめランキング11選|選び方や使い方を徹底比較
主要NFTコレクションの動向
続いて、主要NFTコレクションの動向について見ていきます。
取引高でみた時の、上位10の主要コレクションは以下の通りです。
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1月はAzukiが1位に躍り出ました。
Azukiは12月の1ヶ月間で2倍近いフロア価格の上昇を見せ、1月には$ANIMEトークンの発行やAnimeとの提携が今回の結果に影響したものと考えられます。
それに加えて、Azukiの2ndコレクションである「Azuki Elements」も影響を受け、前月比で+18.86%の取引高を記録しています。
一方で、前月市場の中心となったPudgy Penguinsは、落ち着きを取り戻す形に。
月間取引高・フロアプライスとも前月からやや調整局面でした。
そして、前月ランク外であった「Milady Maker」が新たに5位にランクインしました。
Milady Makerは、Remilia社が手掛けるNFTコレクションで、東京のストリートスタイルにインスパイアされた「ネオ・チビ」の美学を持つジェネラティブNFTとして知られています。
同コレクションの取引量が増加した背景には、イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏が「Milady #9286 」を購入し、Xのアイコンに設定したことがあると考えられます。
$ETH 共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏、Milady #9286 を購入しXアバターに設定
— 仮想通貨AI翻訳ニュース (@CryptoJPTrans) January 19, 2025
- Milady Makerのフロア価格が上昇
- 現在5.46 $ETH
- 24時間で36.76%上昇
AI補足:ブテリン氏は最近、イーサリアム財団のリーダーシップ再編を約1年間進めていると発表。一部変更は既に実施・公表済み。 https://t.co/oa8qkbFenu
このニュースが広まったことでフロア価格が高騰し、一日で50%以上の上昇率を記録しました。
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上記画像は、1月に行われたNFTの高額取引ランキングを示しています。
1月は特にCryptoPunksが上位を占めており、依然としてブルーチップの地位を不動にしている点がうかがえます。
また、Azukiも165.82ETH(約8,200万円)の売買を記録し、高額取引ランキングに名を連ねています。
国内のNFT市場動向
下記は、国内発NFTを扱うランキングサイト「NFTRanking」のデータを引用したものです。
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1月における取引量ランキングで1位になったのは、前月ランク外であったPixelBeastsです。
PixelBeastsは、中島 洋平氏が手がける24 x 24ピクセルのNFT コレクションです。NFTを保有することで、ゲームやイベントなど、進化し続けるソーシャル エクスペリエンスにアクセスできるようになります。
同コレクションの取引量が急増した直接的な原因はないものの、中島氏が手がけるソラナベースのミームコイン「Pippin」の盛り上がりが波及したのではないかと考えられます。
他には、Murakami.Flowers OfficialやCryptoNinja Partners(CNP)を筆頭とした、国内で著名のNFTプロジェクトが上位を占める結果となりました。
海外のNFT市場が大きく縮小した一方で、国内のNFT市場はほぼ横ばいの結果となっています。
その他NFT関連の動向・ニュース
ここからは、その他NFT関連で話題になったニュースや、注目トピックをご紹介します。
- メルカリが「メルカリNFT」を開始
国内最大のフリマアプリ「メルカリ」が、2025年1月にNFTマーケットプレイス「メルカリNFT」の提供をスタート。海外の大手プラットフォーム「OpenSea」と連携し、人気NFTの購入や出品が可能に。大手企業によるNFTマーケットプレイスとして注目された一方、一部ユーザーからは一部の点で議論が巻き起こった。 - 日本郵政・日本郵便の地域共創NFTプロジェクト
日本郵政と日本郵便が、石見銀山エリアでの地域共創を目的にNFTプロジェクトを展開。SUSHI TOP MARKETINGのNFT配布技術を活用し、地域活性化を目指す取り組みとして話題に。地域とWeb3の融合が注目された。 - NEO TOKYO PUNKSの緊急ローンチ
国内人気NFTプロジェクト「NEO TOKYO PUNKS」が、1月21日に「NTP3rdコレクション記念KV-NFT」を緊急リリース。SoneiumベースのNFTで、24,578件のミント数を記録し、国内外で大きな反響を呼んだ。3rdコレクションの前哨戦として期待が高まった。 - SNPITとHISのコラボカメラNFT
ブロックチェーンゲーム「SNPIT」の開発元GALLUSYSが、旅行会社HISとコラボし、無料配布のカメラNFTを発表。旅行事業とWeb3を掛け合わせた新しい体験価値の創出を目指す企画で、「はぴウェル応援団」キャンペーンとの連動も話題に。 - Pudgy PenguinsとPEZのコラボ発表
1月30日、人気NFTプロジェクト「Pudgy Penguins」が、大手キャンディブランドPEZとのコラボを発表。「2025年到来」を予告する内容で、NFTとリアル商品の融合がファンの間で盛り上がりを見せた。
特に、国内で話題になったニュースが、メルカリNFTの提供が開始されたことです。
メルカリNFTでは、暗号資産やウォレットがなしにNFTの取引が可能で、今までNFTを触れてこなかった人を対象とした印象があります。
実際に、ローンチ1ヶ月も経たないうちに、取引高が2,000万円を超えたというデータもでています。
メルカリNFTの取引高、ローンチ2週間で17万ドル(2500万円)を超える
— miin l NFT情報コレクター1日平均1.2万ドル(180万円)
土曜、日曜の取引高が大きめ
MurakamiFlowersの取引高が約1/3を占める
比較:OpenSeaやBlurの取引高は1日300~400万ドル程度 pic.twitter.com/9zv4wOnUIb(@NftPinuts) February 10, 2025
出庫機能がない点やメルカリ管理のウォレットでNFTが保管されるために所有権は与えられない点などで、一部の人からは批判を受けていますが、NFTに触れる人が増えていることは確かです。
メルカリNFTをきっかけに、国内市場が盛り上がることは期待されます。
2025年2月以降のNFT市場動向予測と期待、リスク要因
NFT市場は2024年11月・12月に回復の兆しを見せたものの、2025年1月にかけては売上高が減少する結果となりました。1月の売上高は前月比で24%マイナス、主要コレクションの多くも低迷しており、今後の動向を注視する必要があります。
以下に、2025年1月以降の市場展望や期待される動き、そして潜在的なリスクを整理します。
期待される動向と展望
2025年1月のNFT市場は、前年末からの売上減少にもかかわらず、一部の新興チェーンやコレクションが活発化し、新たな展開への期待が高まっています。
特に注目されるのは以下の3つの動向です。
- ブルーチップNFTの継続的な存在感
CryptoPunksやPudgy Penguinsといった主要コレクションは、12月に急騰後、1月にはやや落ち着きを見せましたが、依然として高い関心を集めています。投資家心理が回復すれば再度取引量増加を牽引する可能性があります。 - 新興チェーンのさらなる拡大
1月はBaseチェーンの取引高が週次ベースで219%上昇するなど、BaseやAptos、Berachain、AbstractChainといった新興チェーンが注目を集めています。これらは低手数料や独自のエコシステムを武器に、多様なユーザーを取り込みつつあり、2025年を通じてさらなる拡大が見込まれます。 - 国内外企業のNFT活用や市場競争の活性化
国内では日産やNTTドコモをはじめとする大企業の参入が継続し、海外ではBlur・OpenSea・Magic Edenなど主要マーケットプレイスが高い競争を維持しています。Blurは30日間の取引高が4.4億ドルを超えたというデータもあり、高額取引やヘビーユーザーを中心に引き続き市場を盛り上げる要因になりそうです。
潜在的なリスク
一方で、NFT市場には以下のような潜在的なリスクが存在します。
- ボラティリティと短期的な過熱感
主要コレクションの価格変動やミームトークン(例:$TRUMP)の急騰は、短期的な投機熱を生み出す一方で、長期的な市場健全性を損なう恐れがあります。急落リスクにも注意が必要です。 - 規制リスクの高まり
暗号資産市場全体が各国規制当局の監視下にあり、NFTも例外ではありません。NFTを金融商品とみなす動きや税制強化など、法的整備が進むにつれプロジェクト運営者や投資家の負担が増える可能性があります。 - 新興チェーンの技術・流動性リスク
BaseやAptosなどは成長が期待される一方、ユーザー獲得や技術的安定性が追いつかない場合には、投資家の期待値を下げるリスクがあります。また、既存チェーンとの競争でシェアを確保できるかも課題となるでしょう。 - プロジェクトの運営リスクと信頼性
企業参入が続く一方で、運営の不透明さや突然の事業撤退が発生すれば、市場全体の信頼を損なう懸念があります。過去にはRTFKTが事業方針を大きく転換するなどの例もあり、今後も類似事例が出れば投資家心理に影響を与える可能性が高いです。
まとめ
2025年1月のNFT市場は、全体で見ると前月比約24%の売上高ダウンという厳しい数字が示すように、年初から勢いを失いつつある局面に差しかかりました。しかしながら、チェーンごとに活発な動きを見せるプロジェクトや、国内外での大手企業参入は続いており、今後の回復・再活性化を期待する声も根強くあります。
特にSolana上でのミームコイン人気や、AI技術とNFTを組み合わせた新ジャンルなど、投資家・コレクター双方の視線を集める要素が複数台頭してきています。国内市場においても大企業の実証実験・新規プロジェクトの継続的リリースが見られるなど、NFTの応用や普及に向けた取り組みは衰えていません。
今後のNFT市場動向を見極めるうえで、ブロックチェーンごとの分散化やマーケットプレイス間の競争激化、それに伴うロイヤリティ問題や規制動向の変化が、どのように作用するかが重要となるでしょう。引き続き、データの分析とグローバルなトレンドの把握を行いつつ、市場機会とリスクを慎重に見極めることが求められます。
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【2025年1月】NFT市場動向|12月はブルーチップNFTが市場を牽引!
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参照元:NFT Media