米国のビットコインマイナー、AI・HPCに転換傾向|手数料の不確実性が影響か
ビットコインマイナー、AI・HPCへ転換傾向
米国資産運用会社VanEckは、2025年2月20日に公開したレポートで、米国のビットコイン(BTC)マイナーが、別事業への転換を進めていると指摘しました。
レポートによると、米国のビットコインマイナーは新たな収益源を模索しており、特にAI(人工知能)やHPC(高性能コンピューティング)関連事業へ転換を行う傾向が見られています。
一例として、米国・ノルウェー・ブータンなどでビットコインマイニング事業を展開するBitdeerは2月に、AI・HPC関連のパートナーと協議を進めていることを発表しました。
また、Cipher Miningは1月に、ソフトバンクから5,000万ドル(約75億円)を調達したと発表しました。調達した資金はHPCのデータセンター事業に充てられる方針となっています。
Bitfarms、Riot、HIVEといったマイニング関連企業でも、同様の動きが見られています。
BTC手数料の不確実性が影響している可能性
同レポートでは転換が進む背景として、ビットコインにおける取引手数料の不確実性を挙げています。過去数年間の傾向として、ビットコインの価格は安定的に上昇している一方で、取引手数料はその上昇に追いついていません。
ネットワークの混雑が見られた際には、取引手数料が一時的に急騰するものの、持続的な収益源にはなりにくいと指摘しました。
また、ビットコインのブロック報酬は4年ごとに半減していきます。その一方で、ビットコイン価格のボラティリティは大きいことから、持続可能な収益源としてAI・HPCへの展開はより魅力的な選択肢になるとも指摘しました。
上記に加えて、L2・ETF・先物市場・CEX(中央集権型取引所)といったオフチェーンソリューションが発展することで、マイナーの長期的な収益はより減少していく可能性も指摘しています。
VanEckは、各マイナーが競争力を維持するために「AIやHPCへの展開に加えて、チップ設計や冷却システムといったテクノロジー面での技術革新が求められる」と述べました。
一方で、直近のマイニング難易度は前月比で8%増加し、過去最高を記録しました。ビットコインの需要増大に対応するために、マイナーが事業を拡大している可能性が高く、ネットワークが堅調に成長していることを示しています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=150.4円)
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Souce:VanEck
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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