【墨汁速報】イーサリアム2.0で7ブロック再編成(Reorg)が発生し取引巻き戻し 偶然が重なる
PoSへの完全移行"The Merge"を控えているイーサリアムは、イーサリアム2.0のビーコンチェーン(Beacon Chain)約15時間前に7ブロックのブロック再編成(Reorg)が発生。この7ブロックものチェーン再編成はイーサリアム上では近年見られておらず、原因はイーサリアム2.0の”LMDバランシング攻撃(LMD balancing attacks)”を対策して実装したプロポーザーブースト(Proposer Boost)と偶然が重なったことが理由となっている。
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ビーコンチェーンが7ブロックの再編成(Reorg)を記録
ビーコンチェーン(Beacon Chain)とは現在のDeFiやNFTマーケットプレイスが動いているイーサリアム1.0と並行してETHステーキングで稼働しているイーサリアム2.0であり、今年夏頃にイーサリアム1.0とイーサリアム2.0を統合してPoSへの完全移行が予定されている。
このイーサリアム2.0のビーコンチェーンにおいてコントラクト実行や送金などが別のものに置き換わって巻き戻されたようになる”ブロック再編成”通称"Reorg"が発生した。このブロック再編成により#3887075から#3887081までのブロックを提案したマイナーに当たるプロポーザー(Proposer)とアテスターの報酬が失われたことになる。
あくまでイーサリアム2.0のバリデータの報酬が失われたのみであり、DeFiやNFTアート、ETHやイーサリアム上のトークンには全く影響はない。
ETH2速報:イーサリアム2.0のBeacon Chainにて7ブロックのReorgが発生。LMDバランシング攻撃に対策するアテステーションの"Proposer Boost”とクライアントリリースのズレが原因で、バグではないためThe Mergeの影響遅れはないとみられる#イーサリアム #Ethereum #仮想通貨 #暗号資産 #ETH #DeFi #NFT pic.twitter.com/b35OQPQrOf
— 墨汁うまい(Bokujyuumai) (@bokujyuumai) May 26, 2022
イーサリアム2.0のReorg原因は?
このイーサリアム2.0ビーコンチェーンのブロック再編成(Reorg)の原因は偶然が重なったものであり、ブロックを提案するプロポーザー(バリデータ)による攻撃やイーサリアム2.0のバグではないと見られている。
今回の原因として2022年4月にイーサリアム2.0に導入された潜在的な攻撃に対策する"プロポーザーブースト(Proposer Boost)"とその実装を行ったクライアントの公開に約2ヶ月のズレ、さらにはビーコンチェーンに参加するバリデータのアップデートが次第に行われたことによる”偶然”が重なったことで起きた事件であり、バリデータによる攻撃ではないということだ。
プロポーザーブーストは投票の加重を調整する実装であり、LMDバランシング攻撃を対策する一方でアップデートのズレからある一点から加重が変動してしまったことが今回の主なブロック再編成の理由となる。
イーサリアム2.0のクライアントドミナンス
イーサリアム2.0の主要クライアントは分散とセキュリティの観点から
・プリズム(Prysm)
・ライトハウス(Lighthouse)
・テク(Teku)
・ニンバス(Nimbus)
・ロードスター(Loadstar)
という5つのクライアントが開発を行っており、バリデータはこの5クライアントから自由に選ぶことができる。開発や実装は各プログラミング言語が異なることから独自開発が必要であり、実装される機能は共通するものの公開時期がハードフォークなどの大型アップデート出ない限りズレるのは自然だ。
今回のブロック再編成の原因となったプロポーザーブーストが実装されたのはライトハウス(赤)で4月5日、メジャークライアントのプリズム(青)で4月26日、シェアを伸ばしているニンバス(緑)で5月21日と約2ヶ月もの差があったことが原因となっている。
The @prylabs team honestly deserves a lot of praise for taking a year-long "don't use Prysm" campaign on the chin and not opposing or getting publicly upset by it.
— vitalik.eth (@VitalikButerin) May 18, 2022
Anyway, that battle is basically won now; time to switch focus to getting more diversity in execution clients. pic.twitter.com/djo8f9awz9
ハードフォークではなく怠慢なバリデータ問題が起きる
このブロックプロポーザーブーストは大型アップデートのハードフォークではなく、LMDバランシング攻撃(LMD Balancing Attack)という潜在的な攻撃リスクへの対策を行う実装だったため、イーサリアム2.0に携わるバリデータは自発的にクライアントをアップデートする必要があった。
大型アップデートにおいてはバリデータはアップデートしない場合、スラッシュされて自身がステーキングした”報酬を得るための保証金”となる32ETHの一部が没収されてしまうというリスクから、自発的に行動する。
一方で今回のような全バリデータがアップデートを緊急でする必要がない場合、放置運用やそもそものアップデートを知らない”怠慢なバリデータ”と呼ばれる攻撃をする目的ではないが、ネットワークには誠実ではないバリデータのアップデートが遅れることになる。
結果的にアップデートを行ったバリデータが実装されたプロポーザーブースト率が増えたことで、#3887075から#3887081までにバリデータが”正しいブロックを決める投票となるアテステーション”がアップデートしていないバリデータとの間に乖離が生じ、偶然ブロック再編成(Reorg)が起きたのだ。
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The Mergeの遅れ影響はなし
今回は偶然が重なって起きたブロック再編成であり、マジョリティを超えるバリデータが意図的にアテステーション(投票)を隠して公開するブロックホールドウィズアタックやクライアントによるバグではない。
そのため今年夏に予定されているマイニングを終了してイーサリアム1.0とイーサリアム2.0を統合するための”The Merge(マージ)”のスケジュールに影響はないとみられるだろう。
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