西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

英ポンド/円は190円へ上昇濃厚! なぜ、 ここに来て、英ポンドは注目を集めている? ブログ

英ポンド/円は190円へ上昇濃厚! なぜ、 ここに来て、英ポンドは注目を集めている?

■利上げ時期がはっきりしない米国 みなさん、こんにちは。

 主要通貨の中で唯一、金利の正常化、つまり利上げに向かっているのが米国。

【参考記事】

●金融緩和競争を米国が静観する理由は? ドル/円は底固めから122円へ向け上昇か(2月5日、西原宏一)

 しかし、利上げが予測されてはいるのですが、米国の経済指標がまだらであるため、その利上げの開始時期がはっきりしません。

 そのため、米ドル高のスピードが徐々に弱まってきました。

米ドルVS世界の通貨 週足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 週足)

 ドルインデックスが100を超えてきたあたりから、米ドル高相場に変化が起きています。

ドルインデックス 日足(出所:米国FXCM)

■BOEの次の一手は「利上げ」 そうした中、利上げ時期のはっきりしないFRB(米連邦準備制度理事会)より、BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])の利上げが徐々に注目を集めるようになってきました。

 そして、2015年4月22日(水)にBOEが公開した、4月開催分の金融政策理事会(MPC)議事録をきっかけに、英ポンド買いが活発化。

英ポンド/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)

 この議事録の37番では、

「There was a range of views over the most likely future path of Bank Rate, but all members agreed that it was more likely than not that Bank Rate would rise over the three-year forecast period.」

(出所:BOE「Minutes of the Monetary Policy Committee meeting 8 and 9 April 2015」)

「政策金利変更の手段に関しては数々の意見があるが、3年先の見通しとして、理事全員(9名)が利上げに踏み切ると予想している」

 としています。

 3年先の見通しですが、この「理事全員が」という部分が「タカ派」。つまり、BOEの次の一手は「利上げ」ということです。

 結果、金利が正常化に向かっているのは、米国に加え、英国であるというコンセンサスへ。

【参考記事】

●安倍首相訪米中は年金がドル買いを遠慮!? ドル/円はGW明けから上がり出すイメージ(4月28日、西原宏一&松崎美子)

 これが「英国の総選挙を控え、英ポンドは不安定に推移する」というマーケットのコンセンサスを覆し、英ポンド反発のきっかけになりました。

■英ポンド/米ドルにはM&A絡みの大口フローの観測も 加えて、欧州の石油・ガス最大手、ロイヤル・ダッチ・シェルが、同業のBGグループを現金と株式、合計470億ポンドで買収したフローがマーケットに出ている観測もあり、4月の英ポンド/米ドルは大きく反発しました。

英ポンド/米ドル 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)

 英ポンド/米ドルの急反発は、「北海ブレント」(※1)が急反発していることもサポートとなっている模様。

 英ポンド/米ドルは、4月14日(火)につけた安値、1.4565ドルから、4月30日(木)に1.5499ドルまで急騰していますので、3週間弱で、1000ポイントに迫る急騰となっています。

 ここにきて、為替マーケットでは、「Grexit(ギリシャのユーロ圏離脱)」から「Grimbo(※2)」へと変遷するユーロよりも、英ポンドに焦点が集まっています。

(※1 「北海ブレント」とは、英国の北海油田で生産される原油のこと。欧州の原油価格の指標となっている)

(※2 編集部注:「Grimbo」とは、Greece + Limbo が合成されてできた言葉。Limboとは、長期に渡る不透明感や、長い間忘れ去られている事柄などを指す。EUとギリシャ政府の間で支援協議が合意できず、協議だけが長引いて、ギリシャがユーロ圏を離脱するのかしないのか、不透明な状況が続いているという意味だと思われる)

  英ポンド/米ドル同様、マーケットの注目が…
ドル/円は122円超、日経平均は2万2000円 へ上昇するのが濃厚と考える理由とは? ブログ

ドル/円は122円超、日経平均は2万2000円 へ上昇するのが濃厚と考える理由とは?

■欧州や米国勢の日本株への投資意欲が強い みなさん、こんにちは。

 4月に入って、欧州や米国勢の日本株買いが目立ちます。

日経平均 日足(出所:株マップ.com)

 欧州や米国勢の日本株に対する評価は、2000年のITバブル期と違い、業績相場に移ったと考えているようで、日本株への投資意欲は変わらないようです。

日経平均 月足(出所:米国FXCM)

 2015年3月から4月にかけて、本邦のROE(自己資本利益率)関連への投資はもう一巡したと想定していたのですが、欧州や米国勢の日本株への断続的な買いが止まらず。

 特に多くの債券がマイナス金利に落ち込んでいる欧州のリアルマネーは、日本株の比率を上げている模様。

 そのため、4月は欧州時間に入ると、欧州のリアルマネーが頻繁に日本株への買いを持ち込んでいるようです。

■日経平均は2万2000円へ向けて上昇濃厚 日経平均は2万円の大台を回復。

 加えて、くじら(GPIF、3共済、かんぽ生命、ゆうちょ銀行、日銀)からの日本株投資も継続しています。

日経平均 日足(出所:株マップ.com)

 一部報道では、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)からの日本株への投資はいったん収まりつつあると言われていますが、次はかんぽ生命とゆうちょ銀行からの日本株への投資が控えています。

 「セル・イン・メイ(Sell in May)」と言われ、5月は米国株の調整懸念も残っていますが、業績相場に移行した日本株は2万円で底固めした後、2万2000円に向けて上昇する公算が濃厚。

日経平均 日足(出所:米国FXCM)

 アベノミクス初期の相場においては…
「ポンド危機」を招いた張本人がギリシャは ユーロ圏をたぶん離脱すると発言! ブログ

「ポンド危機」を招いた張本人がギリシャは ユーロ圏をたぶん離脱すると発言!

■イースター休暇明けはユーロ/米ドルが急落 みなさん、こんにちは。

 前回コラムのとおり、イースターホリデー明けのマーケットでは、ユーロ/米ドルの軟調な展開が続き、わずか1週間で、約470ポイントも急落。

【参考記事】

●ナチス時代の賠償金を払えとドイツへ要求!? ギリシャ問題の泥沼化でユーロ下落再開!(4月9日、西原宏一)

ユーロ/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)

 ユーロクロス(ユーロと米ドル以外の通貨との通貨ペア)も続落し、ユーロ/円は、一時、126.09円まで急落しました。

ユーロ/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 4時間足)

■米ドル/円は120円台では確実に当局からコメント 今週(4月13日~)に入ってからのユーロ/円下落の要因は、米ドル/円の下落が大きく影響しています。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

ユーロ/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 4時間足)

 以前、コラムでご紹介させていただいたように、米ドル/円は122円でトップアウトして調整局面入りしています。

【参考記事】

●米当局から米ドル高牽制コメント相次ぐ!米ドル/円は115円に向けて下落開始か(3月26日、西原宏一)

 今週(4月13日~)に入って、浜田内閣官房参与が円安の限界についてコメントしていることも、米ドル/円の120円台が重たくなっている要因。

【参考記事】

●浜田参与の発言もあり円安は調整局面。ドル/円よりユーロ/円の売りに妙味?(4月14日、西原宏一&松崎美子)

「円安は徐々に限界に近づいている。125円、130円になるだろうと思っている人はある程度本当かなと注意してみなくちゃいけないんでしょうね」

出所:Bloomberg

 ただ、このコメントは以下のロイターのインタビューで一部修正されています。

「米ドル/円、120円程度は許容範囲」

「125~130円は購買力平価と乖離している」

「需給ギャップ改善遅れれば追加緩和必要」

「(日銀の追加緩和について)4月末でも反対はしない」

「次回消費増税で景気落ち込み懸念なら、その前に金融緩和を全開にする必要」

「金融政策は国内需給を重視、短期的な円安は仕方ない」

出所:ロイター

 修正されたとはいえ、米ドル/円が120円台に入ると、本邦当局からのコメントが確実に入ることで、米系短期筋も米ドル/円での米ドル買いには消極的…。

米ドル/円 日足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)

 加えて、現時点(4月16日)での為替相場の… 
ナチス時代の賠償金を払えとドイツへ要求!? ギリシャ問題の泥沼化でユーロ下落再開! ブログ

ナチス時代の賠償金を払えとドイツへ要求!? ギリシャ問題の泥沼化でユーロ下落再開!

■イースター休暇明けの焦点は再びユーロに みなさん、こんにちは。

 先週(3月30日~)末は、欧州や米国勢がイースター休暇でした。

 特に英国勢にとっては、昨年(2014年)のクリスマス以降、初めての長い休暇がやってきたということで、2015年最初の休暇を謳歌したといったところ。

 今年(2015年)、もっとも注目を集めていたユーロ/米ドルも、イースター休暇を控えてポジション調整が進み、1.10ドル台まで反発しました。

ユーロ/米ドル 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)

 他の通貨ペアも調整モードに入り、方向感なく推移していました。

 そして、イースターマンデーが明けて、欧州勢や米国勢がマーケットに帰還。

 そこで、再び注目されたのがユーロ。ユーロが下落を再開した要因は、ギリシャ問題の深刻化でした。

【参考記事】

●ギリシャが5月中旬以降、ヤバい理由とは? 鉄鉱石価格暴落で豪ドルはまだまだ下がる(4月7日、西原宏一&松崎美子)

ユーロVS世界の通貨 1時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 1時間足)

■ギリシャのユーロ圏離脱、「Grexit」の可能性高まる まず、イースター休暇前に、米大手ゴールドマン・サックスが「Grexit」(ギリシャのユーロ圏離脱)のリスクが高まっているという記事を、ウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿。

 そして、今週(4月6日~)に入って、ギリシャの動きが加速しました。

 4月7日(火)には、まとまらないギリシャ問題に、米国政府は、ギリシャ政府と債権者との協議が合意に至るよう、仲介役になることを示唆。

 そして、4月8日(水)には、ギリシャとロシアによる首脳会談が行われました。この会談では、ギリシャはロシアに支援要請はしなかった模様。

ギリシャ、ロシアに支援要請せず 提携強化は確約

ギリシャのチプラス首相は8日、訪問先のモスクワでロシアのプーチン大統領と会談し、ロシアによる提携強化に向けた確約を取り付けた。

ただ、両首脳ともにギリシャはロシアに金融支援を要請していないと言明。プーチン大統領は欧州連合(EU)の対ロシア制裁への対抗措置の一環として導入している農産品の禁輸措置について、ギリシャのみを例外として解除しない方針を示した。

出所:ロイター

 ギリシャがロシアに接近することで、欧州諸国は神経質な展開。

  そして、ギリシャの財務次官は…
山本幸三議員発言があっても4月緩和の 可能性は低い。ドル/円の調整に要注意! ブログ

山本幸三議員発言があっても4月緩和の 可能性は低い。ドル/円の調整に要注意!

■イースターホリデーや米雇用統計控え、為替はレンジ推移 みなさん、こんにちは。

 今週(3月30日~)は月末、期末、四半期末を迎える週です。

 加えて、欧米勢にとっては、イースターホリデーを迎えることになり、4月3日(金)には米雇用統計を控えています。

米3月雇用統計は4月3日(金)21時30分の発表

(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移)

 以上のことから、為替マーケットも方向感なく、レンジでの推移に終始しています。

世界の通貨VS円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)

■山本議員の発言で日銀の追加緩和期待が台頭 その中で、一時、マーケットの注目を集めたのが、下記の自民党・山本幸三議員のコメント。4月1日(火)に発表されたロイターの下記報道で、一時、マーケットが乱高下しました。

追加緩和は必要、4月末の日銀会合が好機=自民・山本氏

アベノミクスの仕掛け人である自民党の山本幸三衆議院議員は1日、ロイターのインタビューに応じ、日銀短観など最近の経済指標を踏まえた景気情勢には足踏み感があり、注意が必要と語った。物価がマイナスに陥る可能性も指摘し、追加緩和が必要だと述べた。追加緩和でも円安が加速するとは思わないとして、国際的に批判されることはないと述べた。

追加緩和のタイミングについて山本氏は、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」が公表になる4月30日会合が「良いタイミングだ」と指摘。「景気が足踏み状況にある。物価もマイナスになる可能性がある」とし、「日銀として、2%目標に向かって断固対応する姿勢を示さないわけにはいかない」と緩和の強化を促した。

緩和手段については、国債以外にも、社債・REIT(不動産投資信託)などの買い入れ、付利をなくすなど、いろいろあると語った。

出所:ロイター

 これまで山本幸三議員は、昨年(2014年)10月の日銀の追加緩和、加えて消費税引き上げの見送りを主張しており、実際に彼の主張どおりになったことは、マーケットでは知られていること。

 個人的にも、2015年年内に何らかの追加緩和が行われるのではないかと考えているのですが、とはいえ、4月の緩和の可能性はさすがにかなり低いのではないでしょうか?

 安倍首相にも近い山本幸三議員のコメントですが、さすがにマーケットは冷静で、米ドル/円の高値も120.30円止まり。

米ドル/円 4時間足(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)

 本稿執筆時点で、米ドル/円は119.50円近辺で推移しており、山本幸三議員のコメントが出されたレベルまで戻しています。

 今週(3月30日~)はイースターホリデーを控えて…